子どもの「居場所はどこにでもある」 不器用でも主役に…強豪チームの未来に繋げる指導
常磐軟式野球スポーツ少年団は元楽天・内田を擁した2007年に全国優勝
創部40年で全国大会出場35回を誇る、福島県いわき市の強豪「常磐軟式野球スポーツ少年団」。全日本学童大会で1度、全国スポーツ少年団交流大会では3度頂点に立っている。Full-Countでは、小・中学世代で日本一を成し遂げた12人の監督に取材。天井正之監督は、「野球の入り口である学童は、特にいろんなタイプの子が活躍できる。可能性を引き出しながら、野球の楽しさを伝えながら指導しています」と語る。
小学4年時に入団した「常磐」の創部メンバーでもある天井監督は、その後湯本高、中大でプレーし、2000年に地元に戻って監督に就任。一時家庭の事情で離れたものの、2015年から再び指揮を執っている。自身の監督時では2002年、2005年の全日本学童で準V。そして、のちに楽天入りする内田靖人(現エイジェック)を擁した2007年の全国スポ少交流で優勝を飾った。
「4番の内田を中心にガンガン打っていくチームで、小技もできて、本当に監督いらず。決勝戦も私の出る幕がないので、『最後にスクイズやらしてくれな』と言ってサインを出したほどです(笑)」。とはいえ、初めから強打のチームであったわけではない。「不器用な子たちが打てるようになったチームでもありました。内田らについていくようにしてみんなもバットを振った。先頭を走る子がいると、周りも『負けたくない』となりますからね」。
自身も「不器用なタイプだった」と振り返る天井監督。だからこそ学童野球には、子どもたちのさまざまな可能性を引き出せる魅力が詰まっていると考える。
「全然打てなかった子がポテンヒットでヒーローになれることもあるし、バントが相手の悪送球を誘って点が入ることもある。学童野球は特にそうです。運動神経がよくないからダメとか、体が小さいからダメということはありません。いろんなタイプの子が主役になれるのが面白いところだと思うんです」
毎日積み重ねる基礎練習…応用は選手たち自身で始める
もちろん、活躍するためには自分がコンプレックスに感じる部分を受け止め、「何が必要か」を考えて日々努力することが肝要だ。
チームは平日は夕方からの2時間半、週末は午前中のみの短時間に集中し、ティー打撃やバントなどの基礎練習に地道に取り組むことを伝統にしている。そうすれば不器用な選手でも必ず成長できるし、エンドランやプッシュバントなどの応用は選手たち自身でやり始める。そうして、それぞれの“強み”というものを作り出していくわけだ。
「『自分なら何ができるのか』を考えて野球をする経験は、大人になっても役に立ちます。同じ職場でも、先頭に立って引っ張るタイプもいれば、ムードメーカーもいるし、コツコツ仕事をする人もいる。自分で考え、役割を果たせる人間であれば、どこにでも必ず居場所はあるんです。野球を通してそれに気づかせてあげたいし、『これならばできる』というものを引き出せる指導者でありたいと思っています」
幸いにも、全国出場35回の伝統が根付いたチームには、できないからと簡単に諦める選手はいない。「全国に出たい」という強い気持ちはもちろん、技術の引き出しが増えていく楽しさを実感できているからだろう。天井監督は今月25日から5夜連続で行われる「日本一の指導者サミット」にも参加予定。子どもたちの未来につなげる指導法は、大いに共鳴できるはずだ。
常磐軟式野球スポーツ少年団・天井正之監督も“参戦決定”!
Full-Countと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、9月25日から5夜連続(午後8時から)でオンラインイベント「日本一の指導者サミット」を開催する。小・中学生の野球カテゴリーで全国優勝経験を持つ全12チームから、手腕に定評のある監督たちがYouTubeライブに登場。指導論や選手育成術、円滑なチーム運営のヒントを授ける。詳細は以下のページまで。
【日本一の指導者サミット・詳細】
https://first-pitch.jp/article/news/20230902/5374/
【参加はTURNING POINTの無料登録から】
https://id.creative2.co.jp/entry
(高橋幸司 / Koji Takahashi)
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