大谷翔平に入り待ち6時間 10秒でも見られるなら…二刀流が作り出す異質の空間
右肘手術後初めて登場、30人超のファンから歓声が上がる
エンゼルス・大谷翔平投手の表情が自然と緩む。午後4時37分。水原一平通訳の運転する乗用車の助手席でニッコリと笑みを浮かべていた。13日ぶりのチーム合流。「ショウヘイ!」。駐車場で入り待ちをしていた30人超のファンからは、大きな歓声が上がった。
大谷の姿を一目見たい――。試合開始6時間前の午後0時過ぎ、10人ほどのファンが集まり始めた。アナハイムでは珍しい小雨が降り出しても待つのを辞めない。午後4時30分の球場開門後にも関わらず、駐車場付近には、30人超のファンが集まっていた。
そして、主役の登場。バットボーイのスティーブ・パルドくんの運転するカートでクラブハウスに向かったが、大谷の姿を見られたのは時間にして10秒ちょっとだっただろうか。手術を受けた右肘はギプスで固定された状態。それでも、携帯カメラを向けていた日本人ファンから安堵の声が漏れた。「やっと見られたね」。
球団MVPの表彰式も“大谷フィーバー”だった。大谷が水原一平通訳とダグアウトに姿を見せると、多くのファンが乗り出すようにカメラを向けた。そして、球団MVPとして紹介されると、この日一番の大歓声。グラウンドに登場した大谷は整列した球団スタッフとグータッチを交わしていったが、受賞した大谷よりもグータッチをする球団スタッフの方が嬉しそうだった。表彰式に出席したネビン監督は「オーラがあり、どこに行っても、(他人とは)いつも違うエネルギーをもたらしてくれる」と言ったが、まさにスーパースターそのものだった。
チームはすでにポストシーズンへの道が絶たれ、地区4位も確定。最下位・アスレチックスとの今季最終カードは消化試合だが、29日(同30日)は3万2333人、この日は3万1633人と連日、多くのファンが詰めかけた。WBC世界一に始まった激動の2023年も1日(同2日)が今季最終戦。エンゼルス・大谷の「最後の勇姿」となるのだろうか。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)