明大4番打者は「2位までに消える」 今秋ドラフト注目株…スカウト惚れた“パンチ力”
あと二塁打でサイクルも…気づいたのは「もう回ってこない場面でした」
今月26日のドラフト会議で上位指名候補となる明大の主将・上田希由翔(きゅうと)内野手(4年)は1日、東京六大学野球秋季リーグの立大2回戦で、節目の通算10号となる今季1号2ランを放つなど、4打数3安打2打点。チームも3-1で勝ち、慶大と並び首位に立った。4季連続優勝へ向けて順調に白星を重ねている。
1-0とリードして迎えた3回。2死二塁で左打席に入った4番の上田希は、立大先発の小畠一心投手(2年)がカウント2-1から投じた真ん中やや内角寄りのストレートを一閃。打った瞬間に本塁打とわかる当たりで、打球は右翼席中段で跳ねた。「今までずっとあの球をファウルにしたり、引っ掛けたりしていました。素直にバットが出てよかったです」と納得の表情を浮かべた。
この一発で吹っ切れたかのように、5回2死一塁でも中前打、7回2死走者なしでは右中間を深々と破る三塁打をマーク。あと二塁打があればサイクルヒットだったが、それに気づいたのは、3-1とリードして迎えた9回の守備中で「もう(打順が)回ってこない場面でした」と苦笑するしかなかった。今季打率はリーグ6位の.385に上昇した。
広島の苑田聡彦スカウト統括部長は「リストが強く、甘いコースに来れば飛ばす力がある。三塁守備もうまい。(ドラフト)2位までに消えるのではないか」と予想。一方で「プロに入れば、内外角のいっぱいのコースを攻められる。それにどう対応するか。左中間方向への大きな当たりが、もっと増えるようになるといいですね」と課題を挙げた。
岡田彰布氏の81打点を狙える位置も「無理だろうなと話しています」
上田希自身、「最近は少し引っ張り気味の打撃になっていましたが、昨日(9月30日の立大1回戦)、左中間へ打てて意識が変わりました」とチェックポイントを自覚している。前日に前進守備の左翼手の頭上を越す2点二塁打を放ったことが、さらなるワンランクアップのきっかけとなるかもしれない。
一方で通算71打点となり、元阪神、ロッテの鳥谷敬氏(早大)と並ぶリーグ歴代7位に。歴代最多は、現阪神監督の岡田彰布氏が早大時代にマークした81打点だ。大学ラストシーズンの上田希にもまだ2カード、最少でも4試合残されている。「自分自身あまり気にしていないですし、(周囲とは)無理だろうな、と話していますが、これからもチームのためにチャンスで1本出せればと思います」。チームの4季連続優勝とともに、プロへの“手土産”に加えることができるか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)