なぜ2軍タイトル獲得者が戦力外に? 絡み合うチーム事情…積み重ねた数字が持つ“意味”
盤石の虎1軍投手陣…入団7年目に出番なし
プロ野球の第1次戦力外通告期間が始まり、3日には阪神が8選手と来季契約を結ばないことを発表した。中には今季ウエスタン・リーグでセーブ王のタイトルを獲得した小林慶祐投手の名前もあった。2軍でタイトルを獲得しながら、なぜ戦力外なのか。そこにはチーム事情も絡んでくる。
小林は日本生命から2016年のドラフト5位でオリックスに入団。2020年途中に阪神にトレードで移籍すると、2021年に22試合で防御率2.25の好成績を残していた。しかし、今季は1軍ではわずか1試合の登板にとどまり、2軍が主戦場だった。
2軍では39試合に登板し1勝4敗、16セーブ、防御率3.20の成績だった。ソフトバンクの尾形崇斗投手と並びセーブ王に輝いた。しかし、チームは今季、12球団1位の防御率2.65をマーク。抑えの岩崎優、加治屋蓮、岩貞祐太らが50試合以上登板し、石井大智も44試合で防御率1.35と安定した成績を残した。日本代表「侍ジャパン」に選出された湯浅京己が怪我で長期離脱しても問題なく、小林にも1軍昇格のチャンスが巡ってこなかった。
小林は11月に31歳を迎える。若手が続々と台頭する今季、社会人から入団し7年目になる。たとえタイトルを獲得したとしても、選手の伸びしろに対する球団側の判断や、チーム内の“立ち位置”が複雑に絡み合ってくる。昨季も、ウエスタン・リーグでセーブ王に輝いた中日のマルク投手が同年オフに戦力外通告を受けた。
2軍は育成の場であり、積み重ねの結果であるタイトルは“1軍へ上がれなかった”という意味にもなる。タイトルを取ったからといっても2軍は2軍。来季の居場所が約束されているとは言えないということだろう。
(Full-Count編集部)