復帰の山川穂高、一塁ではなくなぜ三塁? 「全て1から」攻守で誓う“生まれ変わり”
2020年9月27日・楽天戦以来の三塁守備も軽快
西武の山川穂高内野手は11日、宮崎県日南市の南郷スタジアムで行われた「第20回みやざきフェニックス・リーグ」の巨人戦に「4番・三塁」でスタメン出場した。5月11日のロッテ戦(ベルーナドーム)以来、5か月ぶりの実戦復帰は3打席に立ち、1打数無安打。2四球を選んだ。主に一塁を守っていた山川が三塁の守備に就いたのは2020年9月27日の楽天戦以来だった。
久々の打席で、初球を狙った。2回先頭での第1打席は、巨人先発の5年目右腕・直江大輔投手の初球スイング。結果は中飛だったが「タイミングが少しずれましたが、絶好調の時でも、ああいうアウトのなり方はあります。一番大事なのは、ストライクの球に対して自分のスイングができるかどうか。そういう意味で初球の真ん中付近の球に対し、打ち上げはしましたが、センターへフライを打てたことは決して悪くない」と納得の表情だった。
4回2死走者なしでの第2打席は直江から四球を選び、6回1死一塁での第3打席でも巨人の2番手・森本哲星投手から四球を選んだ。直後に代走を送られてベンチへ退いた。
打席よりも久々だったのは、三塁の守備だった。山川はプロ10年間で公式戦786試合に出場したうち、11試合で三塁を守っている(2014年に7試合、2020年に4試合)が、なぜ5か月もの長いインターバルを置いての試合で、あえて3年間就いていなかったポジションを守ったのか。
山川自身は「首脳陣、スタッフの考えだと思います。僕の方からサードがやりたいからやらせてください、と言ったわけではありません。言われたところでやっています」と説明する。阿部真宏2軍内野守備走塁コーチは「他の選手との兼ね合いもありました。山川が3軍でサードの練習をしていたことを聞いていましたし、来年、上(1軍)で守るかもしれませんから。いずれにせよ、まだ評価する段階ではありません」と話すにとどめた。
三塁守備に「ノックの打球と実戦の打球は全然違います」
実際の三塁守備は、軽快だった。2回1死一塁で、巨人の山瀬慎之助捕手が放った三遊間のゴロを捕ると、よどみないスローイングで二塁へ送球し、5-4-3のダブルプレーを取った。5回にも同じく山瀬が放ったボテボテのゴロを前進してさばき、一塁へ送球。華麗なプレーでアウトにしてみせた。
山川は「練習ではサードもやっていましたが、ノックの打球と実戦の打球は全然違います。1つはじいてしまいましたが、やはりプロ野球選手の試合での打球は速いです」と苦笑い。そして「これから、もっともっと練習していかなければいけないと思っています」と付け加えた。一塁手やDH専門の選手、捕手などが体のキレを増すために、試合前に三塁や遊撃の位置でノックを受けることはよくあるが、それとは真剣味が違うようだった。
西武では三塁が本職の中村剛也内野手が、40歳となった今季は一度も守備に就かず、スタメン出場した74試合は全てDHだった。仮に、現在無期限の公式戦出場停止処分中の山川が来季も西武でプレーすることになった場合、三塁守備に慣れていれば、チーム戦略に幅ができると言える。
「初心に戻り、全て1からやっていきたい」と繰り返す山川。「(3軍で)5か月間、せっかく若い選手と一緒にやってきたので、引き続きしっかり足を動かして、僕も若々しくプレーできればいいと思っています」と決意を新たにしている。私生活のみならず、走攻守の全てで生まれ変わる覚悟だ。
(Full-Count編集部)