指揮官に“直球解答”で誘う笑い 覚醒期待18歳「鳥肌が…」人見知りが躍動できる理由
オリックスのドラフト3位・齋藤響介投手「縮こまってました(笑)」
バクバクの心臓を癒してくれたのは指揮官だった。オリックスのドラフト3位ルーキー齋藤響介投手は、9月26日に本拠地・京セラドームで行われた西武戦でプロ初登板初先発し、4回73球2安打無失点の投球を披露。降板後、中嶋聡監督から「緊張したか?」とにこやかに問われ「ブワァって鳥肌が立ちました」とあどけない笑みを浮かべた。
まさかの電話が届いた。数日前、チームマネジャーから1軍合流の連絡が届くと「縮こまってました(笑)」と本音を炸裂させた。1軍合流後に厚澤投手コーチから先発登板を伝えられると「緊張しちゃって……」と思うような返事ができなかったという。
盛岡中央高から昨季にドラフト3位で入団した18歳右腕は、今季2軍で11試合に登板して1勝2敗、防御率2.25の成績を残し、自信をつけていた。チームが3連覇を決め、巡ってきた出番で本領を発揮し、4回無失点。ドキドキの初マウンドは「初回を抑えられて、少し緊張が解けました」と振り返った。
「(プロ)初登板なのに、負けたら終わりの夏大会ぐらい、胸がバクバクしていました。僕は、どの試合でも緊張するんですけど、そのなかでも上の方でした」
自然体が許される“常勝軍団”
収穫もあれば課題もある。「真っすぐは良かったと思うんですけど、変化球があまり良くなかったので反省したいです。上の舞台で投げられたことはうれしかったんですけど、粘られて、球数も増えた。変化球をゾーンに決められると、そこはクリアできるのかなと感じました」。日頃は「人見知りなので……」とオドオドする18歳だが、野球の話になるとキリッとなる。
バッテリーを組んだ石川からは「初球の入り方だったり、変化球はアバウトに投げてみよう」とアドバイスをもらった。降板後は厚澤投手コーチからも「今日投げて学んだこと、緊張感を忘れずに取り組んでほしい」と期待をかけられた。
そんな18歳右腕が目を丸くしたのは、指揮官からの一言だった。「投げた後に『緊張したか?』と近くで言っていただきました。素直に『緊張しました』と言いました」。真っすぐな解答で指揮官を笑わせた。
エースの山本由伸投手や守護神の平野佳寿投手などとグラウンドで“すれ違って”も「(1軍に)行く前から分かっていたんですけど、すごいなぁと。話しかけて良いのかわからなかった。自分は話すのがあまり得意ではないので……。緊張しちゃって、自分から行きにくいので、相手の方から話しかけてくれる環境に感謝しかないです」。自然体が許される雰囲気が、常勝軍団を形成する。
(真柴健 / Ken Mashiba)