“あまり知られていない”西武20歳は「飛距離が凄い」 高2で140m弾…規格外の大砲候補

フェニックス・リーグに参加する西武・仲三河優太【写真:宮脇広久】
フェニックス・リーグに参加する西武・仲三河優太【写真:宮脇広久】

1軍のOP戦に呼ばれ阪神岩崎から右中間へ1発

 毎年10月に宮崎県内で開催され、若手の修行の場として知られる「みやざきフェニックス・リーグ」。プロ5年目で既に1軍でも通算6勝(5敗)を挙げ、来季先発ローテ入りを期待されている渡邉勇太朗投手に、「誰か、今はまだあまり知られていない凄い打者はいますか?」と聞いてみた。すると即、「“ナカミ”ですね。飛距離が凄いですよ。今年1軍のオープン戦でもホームランを打ちましたし」と答えが返ってきた。

 仲三河優太(なかみがわ・ゆうた)外野手、通称“ナカミ”は身長180センチ、95キロの堂々たる体格の持ち主だ。「打ち方も外国人っぽいとよく言われます。僕はメジャーリーグの中継をあまり見ませんが、自分でもボールにバットをぶつけていくような、日本に来る外国人選手に近い気がしています。“気持ちは助っ人”です」と屈託のない笑顔を浮かべた。

 プロ3年目・20歳の左の大砲で、フェニックス・リーグでは10日の四国アイランドリーグplus選抜戦、12日の韓国プロ野球選抜戦に「4番・DH」で出場。今のところシングルヒット2本の8打数2安打だが、「練習では柵越えも出ていますし、試合でもいい打球が飛んでいる。あとは角度だけかなと思います。結果を求め過ぎず、いずれ出ると思ってやっていきます」と前向きにとらえている。

 渡邉も触れていたように、仲三河が存在感を示したのは3月21日、1試合だけ1軍に呼ばれたベルーナドームでの阪神とのオープン戦だった。8回2死走者なしから、阪神の守護神左腕・岩崎優投手に対し、大阪桐蔭高の19年先輩にあたる中村剛也内野手が左翼席へソロを放ったのに続き、代打で出てカウント1-1からスライダーを右中間席へ運んだ。たった1打席、たった1度のスイングで、“大阪桐蔭連続アベックアーチ”を決めたのだ。

「もちろん中村さんを尊敬していますが、右と左の違いがありますし、中村さんのホームランがきれいな放物線を描くのに対し、僕はライナー系。ホームランも大事ですが、今は長打率を上げたいと考えていて、左右どの方向へもライナーでツーベース以上を打っていきたいです」と自分の将来像を明確に描いている。

「130~140メートル飛んでいたのでは」と振り返る人生最長弾

 これまでの球歴は波乱万丈だ。中学時代から最速137キロを誇る右腕投手として全国にその名を知られ、3年生の時に栃木・小山ボーイズのエースとして、3つの全国大会(ボーイズ春季全国大会、ジャイアンツカップ、ボーイズ選手権)で全て決勝進出(残念ながら、全敗)。強豪・大阪桐蔭高に進んだ。

 大阪桐蔭でも1年生でベンチ入りするなど期待されていたが、右肩を故障。途中から野手に転向した。「打者としてはまるで中学生のように非力でしたが、ウエートトレーニングでスイング力をつけて」打線の中軸を任されるまでに成長。仲三河が「人生で一番飛んだ」と語るのが、2年生の秋、大阪シティ信用金庫スタジアムで行われた大阪府大会・決勝で、履正社高のエース右腕・岩崎峻典投手(現東洋大)から放った右翼場外への特大3ランだ。「130~140メートル飛んでいたのではないですかね。大きな自信になりました」と振り返る1発でチームを府大会優勝に導き、翌春の選抜大会出場決定へとつながった。

 ところが、3年生でも試練が仲三河を待っていた。出場を決めていた選抜大会が新型コロナウイルスの感染拡大で開催中止。夏に行われた「甲子園高校野球交流試合」も、右足の怪我の影響でスタメンを外れ、どうにか代打で1安打を放つにとどまった。不運にも全国アピールのチャンスを奪われたが、プロ志望届を提出。ドラフト7位で西武のユニホームに袖を通したのだった。

 高校で野手に転向したとあって「僕はまだ野手の経験が足りない。最終的にはもちろんレギュラーになるつもりですが、来年はまず1軍の公式戦出場、そしてホームランを1本打ちたいです」と短期目標を掲げる。驚異的な飛距離を、1軍の大舞台で見られる日が待ち遠しい。

【映像】「凄まじい弾道」 仲三河の衝撃弾にファン唖然「助っ人を彷彿」

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