広島・新井監督の“神采配”は「偶然じゃない」 元コーチ分析…適材適所の人員配置
同点の8回に代打・田中が右前適時打を放ち決勝点
■広島 4ー2 DeNA(15日・マツダスタジアム)
セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦は15日、マツダスタジアムで行われ、広島が4-2でDeNAを下し、ファイナルステージ進出を決めた。起用した選手が結果を残す新井監督が見せた連日の“神采配”に球場は大盛り上がり。元コーチで野球評論家の新井宏昌氏は「失敗しても選手が切り替えられる状況を作る。この2試合は申し分ない選手起用だった」と、分析した。
新井監督の“勝負のタクト”が見事にハマった。同点の8回。先頭の菊池、野間の連打で無死一、二塁の好機を作ると、先制ソロを放っていた西川が犠打(記録は犠打野選)を成功させ無死満塁。ここで代打・田中が初球を叩いた打球は右前に弾む勝ち越しのタイムリー。さらに秋山の左犠飛でこの回2点を奪い試合を決めた。
リーグ3連覇を知る男が決めた決勝打に新井氏も「当時に比べると力量は落ちているが、彼の良さは緊迫した場面でもファーストストライクから自分のスイングができる。代打の鉄則ですが、これが全てだった」と賛辞を送った。ベンチの動きも活発で、適材適所の“人員配置”で2試合を勝ち切った。
前日の試合では1点を追う8回に代走・羽月が三盗を決め、菊池にはスクイズのサインを送り同点。シーズンで全て先発登板の九里をリリーフで起用し、延長11回には途中出場の秋山がサヨナラ打。この日も1点リードの6回に先発・森下が1死三塁のピンチを背負うと迷うことなく交代を告げた。2番手の大道は大田を二飛、牧を右飛に打ち取り無失点。直後の6回には先頭の代打・末包が左翼席へ貴重なソロを放ちリードを拡げた。
東、今永のWエースをぶつけてきたDeNAに連勝、甲子園には「最高の状態で挑める」
それでも、全てが完璧だった訳ではない。8回無死一塁の場面では野間がバントを決めきれず、追い込まれてからの“強攻策”で遊撃内野安打でチャンスを拡大。記録に残らないミスも多々あったという。
「短期決戦ではちょっとした失敗が命取りになるが、大きく影響しなかった。選手もすぐに気持ちを切り替えていける環境のように見えます。決して偶然ではない。中崎で同点に追いつかれたが、追い越されることはなかったことも大きい。勢い、流れと言いますが、そこに監督の好結果を生む采配があった」
試合後には新井監督がファンに向けたスピーチ前に「まず、私の挨拶の前に選手を代表して島内より」と、無茶ぶりで場内の笑いを誘う場面もあった。チームの雰囲気の良さはシーズン中から変わらず、ポストシーズンも全員野球で白星を重ねている。
17日からは日本シリーズ進出をかけリーグ王者の阪神と戦う。「DeNAが誇る東、今永の好左腕を攻略したとまで言えないが、得点を奪い試合を優位に進めたのは自信にしていい。最高の状態で挑めるのではないでしょうか」。勢いに乗った新井カープが敵地・甲子園でどのような試合を見せるのか、注目が集まる。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)