阪神有利も不安は照明「打席感覚が違う」 広島の新井采配は…日本一経験者がセCS展望
日本一を経験した坂口智隆氏がセ・リーグのCSファイナルステージを展望
セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが、18日から甲子園で行われる。ファーストステージを連勝で勝ち上がってきた広島が、11.5ゲーム差を付けリーグ優勝を果たした阪神にどこまで食らいついていけるか。ヤクルトでリーグ連覇、日本一を経験した野球評論家の坂口智隆氏は「阪神はストレートで決まる可能性もある」と、展望した。
勢いに乗る広島か、絶対王者の阪神か。CSファーストステージでは初戦に羽月の三盗、菊池のスクイズ、第2戦では好投の森下を6回途中でスパッと代え、代打策もことごとく的中した新井監督の“神采配”が注目を浴びた。
両チームの今季の対戦成績は阪神が15勝9敗と大きく勝ち越している。レギュラーシーズンの戦いぶりを見た坂口氏は「普通にやれば阪神がリードしているのは変わりない。先発陣の安定感、計算が立つ投手の数が多いのはチームにとっても助かる」と指摘。シーズン終盤には西勇が復調したこともポイントに挙げる。「だからこそ、村上、伊藤将、大竹の10勝トリオを初戦から3枚並べられる」と、盤石のローテに問題はないと見ている。
唯一、不安要素を挙げるとすれば「野手陣の試合勘」と語る。「フェニックスでCSと同じ気持ちで打席に立て、というのは無理がある。さらにデーゲームでの調整。甲子園ではナイターゲームで始まる。照明がある球場の打席感覚は違う。CSファーストを戦った広島は緊迫した中で打席に立っている。ここも一つポイントになる」。レギュラーシーズンを離れ、フェニックスリーグで実戦を積んではいるが、打者の感覚はそう簡単には戻らないと見ている。
新井監督の“神采配”は「選手は特別な采配と思っていない」
「阪神は初戦の1、2番の打席内容に注目しています。ヒットでなくても凡打の内容が重要。実戦から遠ざかっても周りのチームメートが『いける』と思うことで一気にシーズン通りの戦いができる。メンバーがある程度、決まっているので岡田監督もどっしり構えての采配になる。大崩れすることはないでしょう」
では、広島はどうだろうか。CSファーストステージではDeNAの東、今永のWエースから連勝。スタメン、ベンチと関係なく起用された選手が躍動し勢いに乗っている。新井監督の“神采配”も注目されたが「監督のやろうとしてることが選手の頭の中に入っている。だから、すんなり采配が決まる。選手は特別な采配と思っていないと思います」と、シーズン同様“一体感”での勝利だと見ている。
「相手が嫌がることをできる選手が多いが、キーマンは菊池選手。ここで出塁すれば流れが来るという時に内野安打を取りに来る足があり、プッシュバントもある。経験と実績でかき回し阪神のペースを崩すことができればいい」
投打ともに盤石の陣容でセ・リーグを独走した阪神。緊迫した展開でも監督の起用に応え接戦をものにした広島。坂口氏は「4勝2敗で阪神。初戦で一気に流れを掴んだらストレートで決まる可能性もある。ただ、野球は何が起きるか分からない。ファンの方々が興奮するような好勝負が見たいですね」と、期待を込めていた。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)