崖っぷち広島、最後の“活路” 専門家は「脅威」と分析、鍵握る2人の右打者

広島・新井貴浩監督【写真:矢口亨】
広島・新井貴浩監督【写真:矢口亨】

島内はCS3試合無安打無失点 今季24セーブの矢崎も戦列復帰

■阪神 2ー1 広島(19日・甲子園)

 広島は阪神とのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージで、レギュラーシーズンのアドバンテージを含め0勝3敗と崖っぷちに追い込まれ、20日に第3戦(甲子園)を迎える。就任1年目の新井貴浩監督の下、昨季5位から今季2位に躍進し、CSファーストステージでもDeNAに2連勝して勝ち上がってきたカープに、巻き返しの余地は残されているか。

 第3戦に先発する床田寛樹投手は、今月14日のDeNAとのCSファーストステージ第1戦に先発し5回1/3、88球で2失点に抑えてから中5日。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「やや間隔が短いだけに、広島ベンチは床田に長いイニングを投げさせるつもりはないでしょう。おそらく床田にはなんとか6回くらいまで抑えてもらい、あとはリリーフ陣で継投していくゲームプランを描いていると思います」と予想する。

 広島の救援陣では、守護神の栗林良吏投手が前日(19日)の第2戦で同点の9回に登板し、痛恨のサヨナラ負けを喫したが、セットアッパーの島内颯太郎投手はCS3試合に登板し、3回無安打4奪三振無失点と相手に付け入る隙を見せていない。ドリュー・アンダーソン投手も、ファイナルステージ第1戦で1回無失点に抑え調子が良さそうだ。「特例2023」で出場選手登録を抹消されていた今季24セーブの矢崎拓也投手が、19日からブルペンに戻ったことも心強い。

 一方、ファイナルステージで2試合連続1得点に抑えられている打線はどうか。第1戦では阪神先発が右腕の村上頌樹投手だったことから、2番から8番まで左打者を7人並べたが、左腕の伊藤将司投手と対戦した第2戦は一変、右打者の堂林翔太内野手、上本崇司内野手、末包昇大外野手、會澤翼捕手がスタメンに名を連ねた。それでも伊藤将に対しては7イニング中、5度も先頭打者が出塁しながら、得点は初回の「1」のみで攻め切れず。守備では、2回1死一塁でシェルドン・ノイジー外野手の右前打を右翼手の末包が後逸し、手痛いタイムリーエラーとなった。

「長打のある選手は相手バッテリーにとって、いるだけで不気味」

 野口氏は「末包の守備は、決してボーンヘッドではありません。ボールに難しい回転がかかっていましたし、緊張感で普段通りに足が動かなかった部分もあるかもしれません。まだ2年目の選手ですから、いい経験になったと思います」と前向きにとらえる。

 さらに「守備はともかく末包、堂林あたりは、広島にとって貴重な長打力のある打者です。相手のバッテリーにしてみれば、いるだけで不気味で神経を使わされる。走者は出ても得点につながらない展開が続いているだけに、相手の先発投手の右、左に関係なく、スタメンに欲しい選手ではないでしょうか」と指摘した。阪神の第3戦の予告先発は、左腕の大竹耕太郎投手だけになおさら、今季12本塁打の堂林、11本塁打でファーストステージ第2戦でも代打ソロを放っている末包は、鍵を握る存在になるかもしれない。

「阪神に連敗を喫したとはいえ、広島はファイナルステージでも、第2戦で先発した大瀬良(大地投手)を筆頭に気迫を前面に出して、いい野球をやっていると思います。精神論になってしまいますが、ここまで追い込まれたらには、やはり気持ち次第だと思います」と野口氏。カープの執念がどんな形で見られるか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY