山本由伸に「何やってんすか?」 愛ある“作戦決行”も不発に反省…「申し訳ない」
エースの緊迫感を解くはずのジョークが不発…猛省するオリックス・宗佑磨
珍しくジョークが通じなかった。オリックスの宗佑磨内野手は、18日に行われたロッテとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦(京セラドーム)で、大いに反省する出来事があったという。「ふざけようと思っただけだったんですけど、マジな顔でしたね」。視線の先にいる山本由伸投手は、いつにも増して真剣な表情だった。
緊迫の初戦、エースは初回からピンチを迎えていた。荻野、藤岡に連打を許し、初回無死一、二塁となると、三塁手の宗はすかさずマウンドに歩み寄った。
「3番の角中さんがバントの構えをして、1球外れたんですよね。そこでマウンドに行って『強いバントだったら三塁に投げていいよ』って伝えたんです。そしたら『OKです! マジでいきますね!』という感じでした」
ここまでは“想定通り”の展開だった。だが、マウンドから離れようとした宗は、ふと機転を利かせようとした。「連係の確認が終わったので、気を紛らわそうとしたんです」。小さな声でささやくように、打たれていることを軽くイジってみた。
「え? 何やってんすか?」
日本シリーズでの新たなレパートリーを探す
いつもの信頼関係で言った冗談。笑顔が返ってくると思いきや、ベクトルの方向が“想定外”だった。「怒られちゃったんですよね(笑)。マジな顔で三塁を指差して『集中、集中!』って。珍しく緊張してたんです、由伸が。表情も硬かったんで。あいつでも緊張するんだなと思いましたね。そりゃそうですよね、CS初戦、緊張しますよね」。“作戦”は不発に終わった。
その後も勢いを断ち切れず、初回3失点。宗は三塁ベースを見つめながら、猛省したという。「あ、すいません……という感じでした。申し訳ないことしたなと。(直後に)点を取られてヤベ〜って。俺が(冗談を)言ったからかな? と。ちょっと気にしました。ちょっとどころじゃないですね……」。額にかいた冷や汗を拭った。
「由伸の場合、初回からマウンドに行くことってあんまりなかったんです。結構、まれじゃないですか? 終盤ならわかりますけどね」
CSファイナルステージを突破し、28日からは阪神との日本シリーズが始まる。投手陣の心境を察する宗は、新たなレパートリーを探している。
(真柴健 / Ken Mashiba)