高校同期はドラ1大砲「レベルが違った」　どん底経験も…4年越しに叶える“悲願”

早大の熊田は東邦高時代に中日・石川昂弥とチームメート

　苦しんだ1年間も今となっては、笑って話せる。早大の熊田任洋内野手はプロ志望届を提出し、26日のドラフト会議で吉報を待つ。思い起こすのは4年前。当時からNPBの舞台を目指していたが、高校同期にはドラフト1位で中日に入団した石川昂弥内野手がいた。「自分にはまだまだ」。差を実感し、早大への進学を決めた。

「プロを目指して大学進学したので。気持ちに揺らぎはないですね」。ドラフト会議を目前に、清々しい表情で取材に応じた。チームは東京六大学秋季リーグの真っ最中。「自分自身もっとやれるんじゃないかと思うことはあるので。もっともっと結果を残したいです」と目の前の試合に集中している。

　愛知・東邦高では1年夏から三塁のレギュラーを務めた。3年の選抜大会では決勝で千葉・習志野高を下し、日本一に。その後、U-18W杯で日本代表「侍ジャパン」にも選出された。一方で、常に上を行くのが石川昂の存在だった。「石川と比べると、レベルが違った。どうしても自分は実力がまだ足りないなって」。パワー、飛距離、選球眼……。打撃においてはすべてが上回っていた。

　自らの「プロ入りしたい」という思いを押し殺して、早大に進学。1年からレギュラーとしてリーグ戦に出場した。一方で、2年時には春秋通じて打率1割台。「本当に駄目だったんですけど。落ちるところまで落ちたので……」。何をやってもうまくいかなかったが、それが逆に自らを見つめ直すいい機会になった。

今年就任した金森栄治助監督の指導が転機…ショート再転向で目指すプロ

　今年1月、NPB6球団で指導者経験のある金森栄治氏が早大コーチに就任。3月からは助監督としてチームを支える名伯楽の存在が転機にもなった。「単純なことですが、甘い球を打って、ボール球をしっかり見逃す。そう毎日言われているので、その習慣が生きていると思います」。最終学年として迎えた春季リーグでは打率.341、2本塁打、13打点の好成績でベストナインにも選出された。

　今年から変えたことがある。昨年は主に二塁を守っていたが、小宮山悟監督に遊撃再転向を直訴。かつての“本職”でプレーすることになった。「ショートはやっぱり一番注目が集まるところ。プロ入りするためにも、ショートしてアピールしていきたかったので。監督に直訴しました」。

　4年前には大きかった石川との大きな差も、少しは近付いたと感じている。「高校時代と比べて、体や技術は大きく成長したと思う。何よりも1年から沢山経験させてもらった。それは自分にとって大きな力になるんじゃないかなと感じています」。やることはすべてやった。仰ぎ見る存在だった同級生と同じ舞台で戦うことを願い、運命の日を迎える。