野球の道を選んだ“医者の卵” 16歳で医学部内定…両親の死乗り越えた異色の天才
16歳で高校卒業、医学部進学が内定していたロペス
医者になっていたかもしれない男が、今ではメジャーのスター選手となっている。ツインズに所属するパブロ・ロペス投手は、今季のプレーオフで2試合に先発してともに好投を見せた。プロ入り前は大学の医学部から入学を許可されていながら、野球選手としてキャリアを築く道を選び、2年連続で2桁勝利の活躍を見せている。
両親がともに医者で、親戚には弁護士や技術者もいる家庭に生まれたロペスは、幼い頃から解剖学の本などを読み漁り、勉学も優秀だった。ベネズエラでは飛び級で進学し、スペイン語、ポルトガル語、英語、イタリア語の4か国語を勉強。16歳にして高校を卒業し、両親が通った医学部への入学が許可されていた。
少年時代から父の夜勤についていくなど、医者になることに憧れはあった。しかし、野球の才能もあったため、同時期にマリナーズからのオファーも受けていた。MLB公式サイトは、プレーオフでの好投を受けてロペスの人生に注目。ロペスは「父は、お前が全部決めていいと言ってくれた。どちらの道を選んでもお前は素晴らしいことをするだろうが、野球がうまくいかなければいつだって大学に戻れる、だが大学に進学して気に入らなければ、そこから野球の道を手に入れるのは少し難しいかもしれない」とアドバイスを受け、進路を決めたという。
2017年にマーリンズにトレードされると、22歳でMLBデビューを果たした。11歳の時に母を亡くしていたロペスだったが、2020年には助言をくれた父が心臓発作で他界。その中でも野球を続け、2022年シーズン後にはツインズにトレード移籍、今季はキャリアハイの11勝、234奪三振を記録した。
ロペスは、父親の助言、そして自身の思いもあり、引退後は大学に復学する意向を明かしている。「学習は永遠に終わらないプロセス」だとして、今でも時間がない中で、どこにいても読書や情報収集を欠かしていないようだ。