記者の“不文律破り”に見せた計らい 巨人ではお騒がせの印象も…ガルシアの人柄

WS第1戦でサヨナラ本塁打を放ったレンジャーズのアドリス・ガルシア【写真:Getty Images】
WS第1戦でサヨナラ本塁打を放ったレンジャーズのアドリス・ガルシア【写真:Getty Images】

試合終了後に記者の不躾質問にも…見せた神対応

 レンジャーズのアドリス・ガルシア外野手は27日(日本時間28日)、ダイヤモンドバックスとのワールドシリーズ第1戦で延長11回に劇的サヨナラソロを放った。プレーオフでは5戦連発と絶好調。球団初の世界一へ、欠かせない存在となっている。

 今季、レギュラーシーズンでは大谷翔平投手に次ぐリーグ2位の39本塁打を放った。リーグ優勝決定シリーズではアストロズ相手に4戦5発、15打点と大当たりでシリーズMVPに輝いた。メジャーのスターとしての地位を確固たるものにした。

 日本ではお騒がせ助っ人の印象が強いかもしれない。2016年に23歳で巨人と契約したが、1軍ではわずか4試合で7打数無安打3三振。たった4か月で契約解除となり、帰国途中のフランスで消息を絶って亡命した。メジャーでも、今季は4月にアスレチックスの藤浪晋太郎投手(現オリオールズ)の死球に激高。アストロズとのリーグ優勝決定シリーズでも乱闘騒ぎを起こすなど、感情的になる場面も多かった。

 一方でクラブハウスでは試合の時とは違って、とても穏やかな印象を受けた。今年5月、記者はガルシアに対して“不文律”を破ってしまったことがあった。通常、試合後の取材はその試合のことについてのみ質問する。今考えれば当たり前のことではあるが……。当時は初のメジャー取材で、何か話を聞かなくてはいけないと焦りがあった。

 ガルシアに聞いたのは日本時代のこと。本人にとってはあまり思い返したくなかったかもしれないが、通訳を自ら呼び質問に答えてくれた。「“ヤキニク”を食べたのが印象に残っている」「日本は素晴らしい国だったけど、MLBで競争がしたかった」と決断した理由を明かしてくれた。試合終了後、疲れているにもかかわらず、通訳が「最後の質問」といっても、「まだ大丈夫」と対応してくれたのが印象的だった。

 日本では好成績を残せず、亡命後の2017年にカージナルスとマイナー契約後も2度のDFA(メジャー40人枠を外れる事実上の戦力外)の措置を受けた。そこから2021年に才能が開花。異国の地で苦しんだ経験があるからか、日本から来た記者に向けた視線は、とても優しかった。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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