顔面骨折の不運に2年続けて戦力外 苦境の連続も…元オリ26歳がNPB復帰を目指すワケ
元オリ、巨人の勝俣翔貴は社会人野球の日本製鉄かずさマジックでプレー
オリックス、巨人に所属した勝俣翔貴内野手は、今年から社会人野球の日本製鉄かずさマジックでプレーしている。昨オフ、2年連続で戦力外通告を受け、12球団トライアウトを受けたが声は掛からず。新たな戦いの場に身を置く26歳は「プロに戻れたら一番いい結果だと思っているので、そこを目指して、常に最善の結果を目指して頑張っています」と現在の心境を語った。
紫色のユニホームも、すっかり馴染んできた。「自分のタイミングで打席を外せなかったり、最初は難しさも凄くあったんですけど、対応は少しずつできていると思います」。勝俣はそう言って、穏やかな笑みを浮かべた。
2019年ドラフト5位で国際武道大からオリックスに入団。オープン戦では新人一番乗りで菅野智之投手(巨人)から本塁打を放つなど長距離砲として期待された。開幕を1軍で迎えたが、ボールが右目に当たり眼窩底を骨折して離脱。復帰後も安打は出ず、それどころか史上初となるプロ初打席から8連続三振でルーキーイヤーを終えた。
2年目の2021年にも再び右目の眼窩底骨折。1軍では1試合の出場で1打数無安打と、連続三振記録こそ止まったものの快音を残せず、この年限りで戦力外となった。2022年から育成契約で巨人に入団し、7月に支配下をつかむも1軍での出番はなく、再び戦力外に。わずか3年間で、6試合に出場して9打席無安打、打率.000、8三振のままNPBを去ることになった。
「あまり落ち込んだりしないんです。確率が低いスポーツなので」
「戦力外と言われてもまだまだやれるという気持ちは変わらなかったです。どういう形になろうが、野球ができるうちは野球でまだまだやれるんだぞというのを見せたいと思っています」
2度の眼窩底骨折という不運もあった。それでも「調子が上がってきたときだったので、凄く悔しい怪我ではあったんですけど、同じように目に当たった選手は視力が落ちたりしたと聞いていて……。自分は奇跡的に手術もしていないし視力も落ちなかったので、そういう面ではまだまだ野球をやれと言われているのかなと思って頑張っています」とプラスに変える強さを持つ。
8打席連続三振も「自分の持ち味である強く振るというのは変えたくなかったので、周りも『どうせなら記録つくっちゃえよ』くらいにいじってくれたのでやりやすくというか、そんなに落ち込むこともなくできていました」と明るく振り返る。「あまり落ち込んだりしないんです。なるようになるじゃないですけど、確率が低いスポーツなので、打てたらラッキーくらいで立つようにしているので、それがいいのか悪いのか分からないですけど、自分ではうまくいっているのかなと思います」と前向きな理由を明かした。
かつての本拠地・京セラドームで、日本選手権が開幕した。「トーナメントが多いので、ワンプレーが勝負に関わってくる。もちろんプロの世界もそうですけど、負けたら本当におしまいなので、また違った緊張感だったりを味わっています」と社会人ならではの空気を浴び、たくましさも増した。目指すプロ復帰へ――。強い思いの根源を聞くと、ハッキリと答えた。
「やっぱり、8連続三振したままじゃ終わりたくないというのが一番ですね」
(町田利衣 / Rie Machida)