坂本勇人の後継者指名も「重圧ない」 11年前に受けた衝撃…目指す新たな遊撃手像
門脇は来季の正遊撃手と期待されている、偉大な前任者・坂本勇人への思い
阿部慎之助新監督が率いる巨人で、門脇誠内野手は来季の正遊撃手と期待されている。1年目の今季は1軍にフル帯同。126試合出場で打率.263、3本塁打、21打点、11盗塁をマークした。抜群の守備力で遊撃手のレギュラーに定着。不動の遊撃手だった坂本勇人内野手は三塁に回った。野球日本代表「侍ジャパン」に選出された22歳は、通算2321安打を誇る偉大な前任者への思いを語り尽くした。
坂本がプロ17年目で初めて三塁スタメンとなった9月7日のヤクルト戦(神宮)。遊撃を守る門脇は、いつもと違う感覚に襲われていた。
「夢の時間でした。(シーズン前は)さすがに想像できなかったことです。目指していたところではありましたけど、いざ、そうなってみると……。不思議な光景でした」
坂本が遊撃手のレギュラーになったのは高卒2年目の2008年。門脇はまだ7歳の小学生だった。
「いや、もうスーパースターという感じで。打って欲しいところで打ちますし、小学生の時は簡単に見えるというか、当たり前にやっているように見えるんですけど、大きくなるにつれて、それがどれだけすごいことかを感じてました」
門脇は奈良・奈良市出身。「あまりプロ野球を見に行ったことはなかったです」というが、インパクトを受けた試合がある。2012年10月7日のレギュラーシーズン最終戦、DeNA戦(東京ドーム)。すでにリーグ優勝を決めており、最大の注目は173安打でリーグトップの長野久義と170安打の坂本による最多安打争いだった。
「最多安打争いで長野さんと3本差で臨んだ試合を覚えています。そこで勇人さんが3本打って。簡単ではないじゃないですか? 1試合に3本を打つのは。大事な試合で3本を打つのは“持ってる”というか。スター選手は、こういうところなんだなと感じました」
「レギュラーを守りたいという思いはないです。自分がやりたいことをやるだけ」
今季からチームメートに。門脇が課題としているのは、守備の「逆シングルキャッチ」。春季キャンプから“コツ”をつかもうと必死だ。
「キャンプの時からずっと聞いています。どういうリズムで入るのかとか。まだまだ課題ですし、難しいですけど、勇人さんのように柔らかさがある取り方にしたいです」
プレーだけでない。ベンチでの“言動”でも驚かされるという。
「ベンチで試合に出ていない時、勇人さんは『次はこうなるで』と次に起きるプレーを予測するんです。その予測が当たる機会がほとんどで。試合数を重ねているからだと思いますが、先を読む力はすごいなと感じました」
シーズン終了早々に、阿部監督から来季の正遊撃手と期待された。もちろん慢心することはない。
「テレビで知りました。次の日に朝起きて、ニュースを見て。『えぇ?』って感じで。嬉しい思いもありましたし、記事の中で、朝早くからアップで早く来ているのを見ていたというのを見て。そういう姿も見ていただいたんだなと。そこは変わらずにやっていこうかと思います」
「レギュラーを守りたいという思いはないです。ただ、自分がやりたいことをやるだけだと思っています。勇人さんの後というプレッシャーもないです。レギュラーとして3、4年プレーした後に感じるかもしれないですけど、プロとしてまだ1年しか経ってないので。今はレベルアップするだけです」
ひたむきに貪欲に、新たな巨人の遊撃手像を作っていく。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)