4割打つために求めた“10割” 対戦打者5000人超も「一番」…オリ右腕が受けた衝撃
のべ5211打者と対戦も…イチローの打撃が一番すごかったと川越英隆氏
社会人野球の名門・日産自動車から1998年ドラフト2位でオリックスに入団し、新人年に11勝を挙げてパ・リーグ特別表彰を受賞。以降、右肘手術の影響がありながらも、2000年代のオリックスの屋台骨を支え続けた川越英隆氏。2010、2011年にはロッテでもプレーし、プロ13年間通算298試合、のべ5211打者と対戦した。今も鮮明に印象に残る対戦打者、そして投手がいるという。それぞれのベスト3を語ってもらった。
打者で真っ先に挙げたのは、松井稼頭央(西武ほか、現・西武監督)。日米通算2705安打、233本塁打、465盗塁。「対戦していてイヤでしたね。スイッチヒッターで、長打力があって、出塁させれば足がありましたから」。
次に挙げたのは、1997~2000年に近鉄でプレーし、一塁手やDHでベストナインに3度輝いたフィル・クラーク。1994年にヤクルトに在籍したジェラルド・クラークの弟だ。「長打を打てるし、追い込まれたらミートに徹します。球種も読めます」。そして、最後に挙げたのは同学年の大スターだ。
「敵でなかったら、間違いなくイチローです。試合になったら巧くヒットを打つスタイルなのに、打撃練習はほとんど本塁打です。しかもコンタクト率がすごい。たぶん『練習で打撃投手が投げるような素直な球で10割打てなかったら、試合で4割近く打てない』という考えだったのだと思います」
“オリエンタル・エクスプレス”郭泰源は「中学時代からの憧れ」
“同業者”の投手として憧れていたのは、“オリエンタル・エクスプレス”の異名を取った元西武の郭泰源だったという。「あの速いストレートと、切れ味鋭いスライダーは、僕が中学時代から憧れていました」。そして、対戦相手では2投手の名を挙げた。
「松坂大輔(西武ほか)はもう別格でした。高卒1年目でストレートやスライダーをあれだけ投げられるのは本当に化け物。それから斉藤和巳(ソフトバンク)。『ダイ・ハード打線』の援護を受けたとはいえ、あの勝率は驚異的でしたね」
オリックス時代は自身15連敗を喫するなど苦難の時期もあったが、Bクラスに低迷するチームの中で奮闘。2010年に移籍したロッテでは、レギュラーシーズン3位から日本一に駆け上がる「史上最大の下克上」の一員となり、念願の“勝利の美酒”を味わった。2011年限りで現役引退。通算298試合に登板し、54勝76敗、防御率4.10だった。
「欲を言えば、勝ち負けの数字が逆だったらよかったのですが……(笑)。でも、プロ野球選手になるという夢をずっと持ち続けて、その夢を実現できて、職業として続けられた。幸せな13年間でした」
(石川大弥 / Hiroya Ishikawa)