小学生から“ウエートトレ”は必要か? 「正しい」理解で得られる意外な効果
BBMC・相澤一幸代表は器具を使ったトレーニング推奨「早いほどいい」
器具を使用したトレーニングは、いつから始めたらいいのだろうか。兵庫県西宮市で動作改善に取り組む野球専門プロ施設「ベースボールメディカルセンター(BBMC)」を営む相澤一幸代表は、「早ければ早いほどいい」と早期導入を推奨する。Full-Countでは、少年野球の現場を知る“凄腕コーチ”12人に取材。今回は相澤コーチのトレーニング論に迫った。
昔から、器具を使ったトレーニングを成長期に行うと、身長が伸びないという「都市伝説」が存在した。ただ、今では、適度な負荷で無理なく行えば、骨の成長に必要な刺激を与えられて、むしろ身長を伸ばす手助けになるという。相澤コーチも、その考えに賛同する。
「自分には小学校3年生の息子がいますが、ウエートトレーニングをやらせています。適度にやれば、身長は大きくなるようになっているのですが、実際はそれを正しくやらないから伸びなくなる。心配なら、整形外科に行って骨端線(成長期に見られる骨が成長するために必要な成長軟骨)を見てもらってもいい。白衣を着た先生から『骨端線があるから筋トレをやっても大丈夫』と伝えていただいたほうが、選手のためになる! と思います」
ただし、器具を使ったトレーニングだけをしていれば投手の球が速くなる、という考えには否定的だ。過去に筋骨隆々の投手から「これだけトレーニングしているのにボールが速くならない」といった相談を受けたこともある。
「器具を使ったトレーニング自体は、効果と成果が出しやすいものなんですけど、それを直接、ピッチングの動作にまで計画を練ってやっていない、ということが結構あります。ピッチングのために、何でこのトレーニングをしないといけないのかという目的から入った方が、イメージがわきやすい。効果と成果、そしてやる理由、やり方を知っておかないとダメです」
動作解析をして“正しいトレーニング”…そこから野球の技術へ
相澤コーチは、13か所の腱を効果的に使って投げる「バネ投げ」の指導で、阪神の臨時コーチを務めた経験がある。これまで多くのプロ投手と接してきた中で、ある気づきがあった。シーズンオフには「ガシガシ筋トレはやらない」ことだ。
「肉体改造より『動作改造』という感じで、冬を過ごしている選手が多いのが、僕の中で新鮮でした。『その動作に必要な筋肉だけ教えてください』といった感じで、高校生や大学生みたいに、大きく肉体改造することは、あまりありませんでした」
トレーニング以前に、その動作が理にかなっていないと、いくらハードに練習したところでプレーに反映されることはない。そこには、ずっと右投げだと思い込んで現役時代を過ごしてきた相澤コーチ自身の苦い経験がある。
「実は左投げだったんです。私生活は右利きだったので、右投げということで限定していました。周りの人たちが『上で投げているから』という理由で、上から投げているという人もいます。上から投げるのが苦手だったら、横に変えてやるとか、もっと下にするとか、その見極めをすることはできます」
動作解析をした上で、正しいトレーニングを行い、それを野球の技術に落とし込んでいく。相澤コーチの経験は、後進を指導する上で、しっかりと役立っている。
相澤コーチは今月27日から5夜連続で行われる「大人のための少年野球塾」にも参加予定。独自の「腱トレ」を取り入れた科学的根拠のある動作改善などを実技解説する。
プロ注目の「バネ投げ」を指導…相澤一幸コーチも“参戦決定”!
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(内田勝治 / Katsuharu Uchida)
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