井端監督「やはりお前だったな」 勝敗分けた“韓国との差”…立役者語る裏側
タイブレークの延長10回に劇的逆転サヨナラ勝ち、犠打が勝敗の分かれ目に
西武の古賀悠斗捕手は24日、「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ 2023」の韓国との決勝戦で、延長10回の逆転サヨナラ優勝を演出した“神バント”を振り返った。当時の背景や「経験したことのないプレッシャーでした」などと心境を明かした。
試合は2-2のまま無死一、二塁から各イニングの攻撃を始めるタイブレーク方式の延長戦に突入。10回に1点を奪われ、井端弘和監督は先頭・森下翔太外野手(阪神)の代打に、古賀を指名した。古賀は「8回あたりから『タイブレークになったらいくから準備しておけ。2点差までならいく』と言われていました。そこからずっと緊張していましたね」と振り返った。
注目される国際大会で、ライバル韓国と優勝をかけた一戦。しかもこの大会で打率.455と大当たりだった森下の代打だった。直前の相手の攻撃では、先頭打者が犠打を成功できず、強行策に切り替えた結果、遊ゴロ併殺打で好機をすぼめ、結果的に1点しか奪えない結果となっていた。古賀は今季17犠打を決めていたが「経験したことのないプレッシャーでした」と苦笑いした。
ただ、大会直前の宮崎合宿の時点から「代打バント」での出場の可能性を伝えられていたという。打席に向かった古賀は、初球の真ん中高めの直球を見事に投前に転がし、チャンスを広げた。「韓国がバントを決められなくて1点で止まったのを見て、自分は一発で決めてやろうと。野球は流れのスポーツなので」と腹を括って決めた“神バント”。「打球が(バウンドして)跳ねた瞬間に『よし!』と思いました」。
ファン、ベンチの仲間の喜びはもちろん、井端監督から「ナイスバント。やはりお前だったな」と声をかけられ「いい経験になりましたし、神様はチャンスを与えてくれるんだなと思いました」と胸を熱くした。
今季は森がオリックスに移籍したこともあり、ルーキーイヤーの26試合を大きく上回る100試合に出場した。「来年が大事になってくる。試合に出たいという思いを持って、体作りを人一倍やって、キャンプ、シーズンに万全の状態で行きたい」。若き正捕手候補は浮かれることなく、充実のオフを過ごす。
(湯浅大 / Dai Yuasa)