小学生が14キロも球速アップ プロ注目の投球法…名将も効果実感「疲れを感じない」

BBMCの相澤一幸氏【写真:伊藤賢汰】
BBMCの相澤一幸氏【写真:伊藤賢汰】

「バネ投げ」を推奨するBBMC・相澤一幸代表は阪神の臨時コーチも経験

 8か月で14キロの球速アップに成功した小学6年生もいるという。「バネ投げ」を指導しているベースボールメディカルセンター(BBMC)の相澤一幸代表と、BBMCのサポートを受けている滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督が11月30日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベント「大人のための少年野球塾2023」に出演。腱を使ったバネ投げについて解説した。

 12人の“凄腕コーチ”を5夜連続で招く今回のイベント、第4夜に登場したBBMCの相澤代表は、スポーツ医学や野球の動作改善を専門としており、「バネ投げ」と呼ぶ投げ方を指導している。腱を使って投げることで小さな力で大きなエネルギーを生み出し、怪我のリスクも軽減するという。野球界での関心は高まっており、相澤代表は2018、2019年に阪神で臨時コーチを務めている。

 バネ投げ習得に積極的なチームの1つが、全国大会で3度の優勝を誇る多賀少年野球クラブ。チームを率いる辻監督は、今年1月からBBMCに指導を依頼し、本格的に練習に取り入れている。中には、8か月間で最速が104キロから118キロまで上がった小学6年生もいると明かした。「どちらかというと小学生の指導者は投げることにはアバウトで、ニュアンスや雰囲気で教える傾向があります。私自身は理想とする投げ方を考えてきましたが、BBMCのカリキュラムでバネ投げを覚えると疲労を感じなくなります」と効果を実感している。

 相澤代表は、腱を使って投げるには技術が必要になると話す。意図的に筋肉を使って腕を振る投げ方と違い、バネ投げでは、筋肉と骨をつなぐ腱を自然に使えるように、体の使い方を身に付ける。腱はストレスに強いため、大きな力をつくり出すと同時に怪我をしにくいメリットがあるという。

 ただ、選手たちは「腱を使うように」と言われてもイメージしにくい部分がある。相澤代表は声のかけ方を意識して指導している。

「私の指導では『腕をしならせて』『力を抜いて』といった声のかけ方をしません。肘や手首を柔らかく使うのではなく固めることが大切なので、『緩めないで』『しっかり固めて』と伝えています。腕を振る時に肘や手首を柔らかくしてバラバラに動かすと無駄なく力を出せなくなってしまいますし、肘にも負担がかかります」

「バネ投げ」について解説する相澤氏【写真:伊藤賢汰】
「バネ投げ」について解説する相澤氏【写真:伊藤賢汰】

筋肉を使わず腱を固める…イメージは“縄跳び”

 相澤代表は腱を固める体の使い方やトレーニングを指導している。選手たちと一緒にバネ投げを学んでいる辻監督は、腱を固める動きは「縄跳びのイメージ」と表現する。

「筋肉を使って縄跳びをすると疲れを感じやすいですが、足首を固定して地面を弾くようにリズム良く跳ぶと長く跳べます。腱を使えるようになると、打撃投手をしていても疲労がありません。腱の固め方も人によってコツがあると感じています。私の場合は、手を固めると下半身も固まります。筋肉に力を入れるわけではありません」

 肩や肘への負担を軽減し、小さな力で大きなエネルギーを生み出すというバネ投げ。今後、野球界の主流になる可能性がある。

本日午後7時まで申し込み受付中…参加費は無料

 Full-Countと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では本日12月1日までの期間、午後8時からオンラインイベント「凄腕コーチ12人が技術指導 大人のための少年野球塾2023 ~子どもを伸ばすための集中講座~」を5夜連続で開催中。小・中学生の現場で豊富な実績を持つ指導者や、話題の野球塾コーチ・トレーナー12人が出演し、選手たちを成長へ導くドリルやトレーニングを実技解説する。参加費は無料。午後7時まで参加申し込みは可能。

【大人のための少年野球塾2023・詳細】

【申し込み1000人突破!】“凄腕コーチ”12人が集結 「大人のための少年野球塾」オンラインで開催

【参加はTURNING POINTの無料登録から】
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(間淳 / Jun Aida)

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