西武の呉念庭が退団、会見で号泣 故郷台湾でプレー継続へ「本当に寂しい」

会見に臨んだ西武・呉念庭【写真:宮脇広久】
会見に臨んだ西武・呉念庭【写真:宮脇広久】

2021年には規定打席をクリアしオールスターにも出場

 プロ8年目で30歳の西武・呉念庭内野手が1日、自由契約選手として公示された。所沢市の球団事務所で会見し、西武を退団して故郷・台湾のプロ野球(CPBL)で現役を続ける意向を明かした。

 会見の冒頭、涙があふれ、言葉がなかなか出てこない。10秒後にようやく「すみません……。私事ですけど、本日で退団することになりました。本当に8年間お世話になりました。今後は台湾に戻り野球を続ける予定なので、引き続き応援してくださるとうれしいです」と絞り出すように言った。

「いつかは、いいパフォーマンスができるうちに台湾でやりたいという気持ちがあって、今年のタイミングになりました」と明かす。今年は3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、10月のアジア競技大会で2度にわたりチャイニーズ・タイペイ代表としてプレーしたことで、故郷への思いが高まったようだ。

 30歳の呉は「年齢も年齢ですし、今年なかなか1軍に定着できず、今後どれほどのパフォーマンスを出せるのかも考えながら、決断しました」とも付け加える。ただし、台湾プロ野球の球団に入るには、7月のドラフト会議で指名される必要がある。

 呉は台湾出身で、共生高(岡山)に留学。第一工大を経て、2015年ドラフト7位で西武入りした。2021年には自己最多の130試合に出場し、初めて規定打席をクリア。監督推薦で初のオールスター出場も果たした。今季は41試合、打率.205(78打数16安打)、1本塁打11打点にとどまった。今季年俸は2800万円(金額は推定)。通算382試合、打率.224(981打数220安打)、16本塁打108打点の成績を残した。

「(高校入学時の)15年前に台湾から来て、日本でプロ野球選手になることが夢でした。ライオンズに指名してもらい、こうやって8年間やってこられて本当によかった。この経験を持って、今後のステージに進みたい」と感慨深げに語り、「納得した数字は残せませんでしたが、ファンの声援があったからこそ8年間やってこれました。ファンの方に感謝しています」と頭を下げた。

来年11月のプレミア12出場に意欲 対戦したい投手は「平良」

 最高の思い出として、活躍した2021年の3月31日・日本ハム戦(札幌ドーム)で伊藤大海投手から放ったプロ初本塁打を挙げ、「あのホームランがあったお陰で、日本で長くプレーすることができました。あの年は人生のターニングポイントです」と振り返った。

 球団関係者に対しても「監督をはじめ、球団本部、スタッフ、裏方さんの皆さんにやさしく接してもらって、離れるのが本当に寂しい。でも、自分で決断して台湾でやることに決め、みんなもそれを尊重して応援してくれるので、感謝の気持ちでいっぱいです」と思いがあふれた。

 来年の11月のWBSCプレミア12で、侍ジャパンと対戦する可能性もある。「それをモチベーションにして準備したい」。対戦してみたい日本の投手は、同僚の平良海馬投手。「平良は後ろで守っていると、すごく球が速いですし、変化球もすごく曲がる。いつか(打席に)立ってみたい」と説明した。会見の最後は、笑顔の「Lポーズ」で締めくくった。

 父の呉復連さんもかつて、日本の社会人野球のトヨタ自動車、台湾プロ野球で内野手として活躍。現在は台湾のアマチュア社会人チームの監督を務めているという。

【実際の写真】8年間プレーした西武に愛着「すみません…」 涙を流した呉念庭

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