FAで“決別覚悟”からの復帰「西武はないだろうなと」 渡辺GMが明かす炭谷獲得の理由
楽天戦力外で6年ぶりに西武へ復帰「初心にかえって頑張ろうという思い」
楽天を戦力外となり6年ぶりに古巣の西武に復帰した炭谷銀仁朗捕手が7日、埼玉・所沢市の球団事務所で入団会見を行い「楽天を戦力外になった時に渡辺GMから声をかけていただき、本当に嬉しかったですし、来季からまた初心にかえって頑張ろうという思いでいます」と意気込みを語った。
2005年に平安高(京都)から高校生ドラフト1巡目で入団した炭谷は1年目からチームの中心選手として活躍。2018年オフに海外FA権を行使して巨人へ移籍。2021年7月に金銭トレードで楽天へ渡った。FA移籍した時点で「西武はないだろうな、と。FAってそういう雰囲気があったので」と“決別”を覚悟したというが、今年のオフに楽天を戦力外となり「(西武側から)お電話をいただいた瞬間から決めていました」と復帰を即決した。
西武の捕手陣には経験豊富な34歳の岡田がいたが、今年3月に左膝の手術を受けた。渡辺久信GMは「正直いうと岡田の復帰を期待していた。彼の性格もわかっているし、ベンチにいると大きいと思って見ていた。結果的に復帰できなかったというところで、たまたま銀仁朗がああいう形(戦力外)になった。いて絶対マイナスにならない判断」と36歳炭谷の獲得事情を明かした。
今季の西武はリーグ2位となるチーム防御率2.93を記録したが、スタメン出場した捕手は古賀が90試合、柘植が41試合、古市が12試合で正捕手を固定できなかった。渡辺GMは「既存のうちにいるキャッチャーと勝負してもらう。うちのキャッチャー陣は若いし、経験あるキャッチャーがいた方が我々もベンチも安心感がある。FAで出た選手が現役で帰ってくるというのもなかなかないと思う」とした上で「他のチームの野球、システムを見ることで、キャッチャーの引き出しは増えると思う。他のチームでやることにはプラスが多い。いろんなエキスをウチに注入して欲しいと思います」と“銀仁朗効果”にも期待を寄せる。
背番号「27」は2012年から移籍するまで付けていた番号で、炭谷は「よっしゃー、やったーって感じです。何番やろなと待っていて、27と言われて本当に嬉しかったです。こだわりはありますね」。ただ渡辺GMは番号を空けて待っていたわけではなく「空いていたから。付けていたし、いいのが空いてる、と」と獲得に当たって偶然に空き番号だったと笑わせた。
「年齢とか立場、役割というのはあると思いますが、キャッチャーは試合に出られるのは1枠ですから。ほぼほぼ可能性は低いのは承知ですが、やはり自分の中では143試合自分が出るんだという気持ち、それは持たないといけないものだと思いますし、いまだにその気持ちは僕の中で強いものがあるので、それを目指してやっていきたいと思います」。36歳のベテランはポジション争いに名乗りを上げた。
(湯浅大 / Dai Yuasa)