英語で綴ったド軍への“謝罪の手紙” 高校生だった大谷翔平の思い…6年後に実った夢

ドジャース入団会見に臨んだ大谷翔平【写真:ロイター】
ドジャース入団会見に臨んだ大谷翔平【写真:ロイター】

ドジャースは2017年オフの大谷争奪戦で落選、大谷から謝罪の手紙を送られた

 自然と表情が緩む。ドジャース・大谷翔平投手は14日(日本時間15日)に行われた入団会見で、照れくさそうに17番ユニホームに袖を通した。ドジャース入りを決めたのは、自身のインスタグラムで公表した9日(同10日)の前夜。「理由はこれが一つというわけではなくて、どの球団も素晴らしかった。ただ、『イエス』と答えられる球団は一つしかない。ここでプレーしたい気持ちに素直に従った結果かなと思います」。争奪戦へ参戦してくれた他球団へ感謝の思いを示しつつ、決断の理由を語った。

 日本ハムからメジャー挑戦したのは2017年オフ。実に27球団が獲得に名乗りをあげ、ドジャースも最終候補に残った7球団のうちの1つだった。クレイトン・カーショー、ジャスティン・ターナーらスター選手とも面談したが、当時ドジャースが所属するナ・リーグは指名打者制がなかった。日本ハムで作ってきた「先発投手&DH」を生かす環境はなかった。最終的に隣町のエンゼルスへ。ドジャースにとっては、花巻東時代から追いかけてきた“恋人”をまたも逃す形となった。

 大谷争奪戦から1か月後。ドジャースの球団関係者は、1通の手紙を手渡された。差出人は「Shohei Ohtani」。せっかくお時間をいただいたのに申し訳ございません――。便箋にはドジャースの気持ちに応えられない謝意や交渉に臨んでくれた感謝の思い、そして大きなサイン。全て英語で記されていた。「オオタニ選手の気持ちが十分に伝わってくるものでした」。この球団関係者は今も大事に携帯に保存してある。

 あれから6年。ドジャースは2013年から11年連続でポストシーズンへ進出。ただ、ワールドシリーズ制覇はコロナ禍で短縮シーズンだった2020年のみで、この10年間はなかなか頂点に届かないシーズンが続いている。「ドジャースが経験してきたこの10年間を、彼らは『全く成功だとは思っていない』と、おっしゃられていた。それだけ勝ちたいという意志が、みんな強いんだなというのは心に残った」。1日(同2日)にドジャースタジアムで行われた面談。常に高みを目指す大谷のハートをつかむには十分だった。

 チーム総年俸を圧迫しないよう、10年総額7億ドル(約993億円)の大型契約のうち、97%の6億8000万ドル(約965億円)を後払いとする異例の契約形態となった。これもワールドシリーズ制覇への思いがあるからこそだ。自身の提案だったとし、「僕自身の優先順位は、契約形態から分かるように、一番上のところではある。勝つことっていうのが僕にとって今一番大事なことかなと思います」と言い切った。

 右肘手術のリハビリも順調で、来年3月20日に韓国・ソウルで行われるパドレスとの開幕戦にも「十分間に合うんじゃないかなという感じはします」と自信を見せた。花巻東高時代から目標にしてきた「ドジャースでワールドシリーズ制覇」の夢を叶えるべく、大谷翔平が前へ前へ突き進んでいく。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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