夏から猛反撃…「2人のドラ7」が覚醒 “リーグ最高値”も記録した楽天打線
浅村が本塁打王、村林と小郷が頭角を現す
楽天の2023シーズンは70勝71敗2分、勝率.496でパ・リーグ4位だった。シーズン最終戦の10月10日、「勝てば3位、負ければ4位」という大一番を本拠地で迎えたが、ロッテに完封負け。2年ぶりのCS出場を逃し、石井一久監督は今季限りで退任した。今回は2023シーズンの特集として、楽天打線を回顧する。
チーム打撃成績は打率.244、1140安打、104本塁打がいずれもリーグ3位。485打点はリーグ最多だ。リーグ最少の三振937の一方でリーグ最多の490四球を選んでおり、IsoDとBB/Kも当然、リーグ最高値をマーク。選球眼に長けた打線といえる。また、盗塁数は12球団唯一の3桁となる102盗塁だった。
個人タイトルでは浅村栄斗内野手が3年ぶり2度目の本塁打王に。小深田大翔内野手はリーグ最多タイの36盗塁を成功させ、自身初の盗塁王を獲得した。パ・リーグ外野手トップの守備率.997を記録した辰己涼介外野手は、3年連続3回目のゴールデン・グラブ賞を受賞している。
チームがシーズン後半に巻き返すことができた要因に浅村の復調に加え、2人の「ドラフト7位野手」の成長も挙げられる。プロ8年目の村林一輝内野手は、これまでは守備固めや代走での出場が多かったが、今季は開幕ショートの山崎剛内野手とのポジション争いを制した。
6月25日に「9番・遊撃」で今季初スタメンとなって3打数2安打と結果を出すと、7月から「1番・遊撃」で出番を増やした。7月2日のロッテ戦は4安打5打点と打ちまくってチームの最下位脱出に貢献。7月30日の西武戦では延長10回にプロ入り初のサヨナラ打を放った。
7月下旬から13試合連続安打を記録するなど、村林は夏場の逆襲の象徴となった。定評があった守備でも、ムダのない身のこなしと堅実な送球で何度もチームを救った。来季もレギュラーに定着できれば、6年連続ゴールデン・グラブ賞の西武・源田壮亮内野手の対抗馬にもなりうるだろう。
5年目の小郷もキャリアハイの活躍
2018年のドラフト7位、プロ5年目の小郷裕哉外野手も昨年の10試合から今季は120試合と大幅に出場試合数を増やし、キャリアハイを更新する10本塁打49打点、13盗塁を記録した。
交流戦のヤクルト戦で2試合連続猛打賞とアピールすると、「3番・右翼」でスタメンに名を連ねるようになった。6月16日、17日には2試合連続本塁打など、6月は月間打率.341と開眼。7月11日と12日にも再び2試合連続アーチを放ち、連勝中のチームに勢いをもたらした。8月は打率.215と調子を落としたものの、10月3日のソフトバンク戦で自身初のシーズン100安打目となる10号ソロが飛び出した。
2024年は今江敏晃監督、野手キャプテンの浅村を中心にチームは新たなスタートを切るが、特に期待したいのは2018年ドラフト組。辰己、太田光捕手、小郷のほか、伊藤裕季也内野手や、ファームで首位打者となった渡邊佳明内野手がその世代にあたる。来年28歳の中堅どころが実力を発揮し続ければ、チームに隆盛が訪れるはずだ。
そして2024シーズンは球団創設20周年のメモリアルイヤーとなる。新体制で優勝を目指す楽天に注目したい。
(「パ・リーグ インサイト」菊地綾子)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)