「3割20発の可能性」燕OB絶賛、育成出身の“怪物23歳” 打率1割台からブレーク予感

ヤクルト・赤羽由紘(左)とオリックス・廣岡大志【写真:荒川祐史、矢口亨】
ヤクルト・赤羽由紘(左)とオリックス・廣岡大志【写真:荒川祐史、矢口亨】

野球評論家の坂口智隆氏がオリックス&ヤクルトのブレーク選手を予想

 僅かなチャンスをものにし、一気に1軍の戦力になる選手は誰なのか。2023年は阪神の村上頌樹投手がプロ初勝利を含む10勝(6敗)、防御率1.75をマークし、新人王と最優秀防御率のタイトルを獲得。2024年シーズンのブレーク候補を、通算1526安打を放った野球評論家・坂口智隆氏が古巣の2球団から予想した。

 まずは常勝軍団の仲間入りを果たし、リーグ4連覇を狙うオリックスから。実績のない若手でも状態が良ければ積極的に起用する中嶋聡監督の手腕が注目される。そこを踏まえ坂口氏は「もう、そろそろ“期待枠”から本物にならないといけない。昨年に経験は積んだので今年は数字を出してほしい」と、廣岡大志内野手の名前を挙げた。

 廣岡は2015年のドラフト2位でヤクルトに入団。高卒1年目の2016年はプロ初打席初本塁打の鮮烈デビューを飾ったが、その後はレギュラーに定着できず2021年は巨人にトレード移籍。2023年のシーズン途中にはオリックスへ再びトレードされ、3球団を渡り歩くことになった。

 本職の内野以外にも外野手としても起用され、自身初の日本シリーズも経験。44試合に出場し打率.200、1本塁打9打点、得点圏打率.304の成績を残した。ヤクルト時代からポテンシャルの高さは折り紙付きで、「良い時、悪い時の差が激しい。全ての面で継続することができれば、右の長距離砲として面白い存在になれる」と指摘する。

 実直で群れることなく1人でも練習できる強靭なメンタルもあるだけに「あれやこれや、ではなく同じことを続けることも大事」とアドバイス。さらに「一つのきっかけを掴めば内野、外野でも1年間を通して試合に出られる選手だと思う。固定しないチームだからこそ、チャンスは転がっている」と期待を込めている。

ヤクルトOBの坂口智隆氏【写真:中戸川知世】
ヤクルトOBの坂口智隆氏【写真:中戸川知世】

ヤクルト赤羽、ポテンシャルの高さはチーム一番「3割20本を残せる能力」

 一方でリーグ連覇からBクラスの5位に転落したヤクルト。主力の離脱もあったが、並木秀尊外野手、濱田太貴外野手、内山壮真捕手ら若手が1軍で経験を積んだ。その中でも「走攻守でポテンシャルの高さは一番」と評価しているのが、赤羽由紘内野手だ。

 赤羽は2020年の育成ドラフト2位で入団。内外野すべてのポジションをこなすユーティリティも魅力で、2022年のフレッシュオールスターでMVPを受賞し、支配下登録を勝ち取った。2023年はプロ初本塁打をマークするなど29試合に出場している。

 現役時代は2軍で共に過ごす期間もあり「足が速くて肩も強い。長打力もあって身体能力は一番。まだ、まだ1軍、レギュラークラスとは言えないが3割20本を残せる能力はある」と注目。2023年シーズンの1軍の経験を生かし、春季キャンプ、オープン戦で結果を残すことができれば一気にブレークする可能性はあるという。

 廣岡、赤羽の両者に言えることは「あとは確率の問題。可能性の大きさでいえばチームナンバーワン」。プロ野球の世界で成功するためには、少ないチャンスをいかに生かすことができるか。1球、1打席で結果を残すことが求められる。「最終的に自分がどこまでやれるか。チャンスは待つのではなく掴みにいくもの。悔いのないように準備をしてほしい」。熾烈な争いを勝ち抜き、開幕1軍、レギュラーを奪うことはできるのか。廣岡、赤羽の“大化け”した姿に期待したい。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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