薄れゆく存在感…昨季0発の元HR王は「残念だった」 “兄貴分”が期待する意地
T-岡田は2023年、レギュラー定着後初の0本塁打に終わった
オリックスは2023年シーズン、パ・リーグで21世紀初となるリーグ3連覇を成し遂げた。中嶋聡監督の臨機応変な采配も光り、投打で選手層の厚さを見せつけている。生きのいい若手が次々に現れる土壌があり、レギュラー争いは激しさを増している。Full-Countでは球団OBの坂口智隆氏に来シーズン、復活を期待する選手を挙げてもらった。
2023年はこれまで打線を支えてきた吉田正尚外野手(レッドソックス)が退団。それでも、FA権を行使した森友哉捕手を獲得し、一塁へコンバートされた頓宮裕真捕手が首位打者に輝くなど“新戦力”が台頭した。「吉田選手の穴を色々な人でカバーできたことは大きい。そのなかにT-岡田がいないのは残念だった」と坂口氏。左の大砲として君臨してきたベテランの名前を口にする。
「これはもう、本人が一番分かっていると思う。流れを変えられる選手であることは間違いない。チーム内では野手最年長になるが“綺麗なベテラン”にならなくていい。荒々しい姿を見せてほしい」
2010年に33本塁打でタイトルを獲得し“オリックスの顔”としてチームを牽引。ここまで通算204本塁打をマークしているが、今季はレギュラー定着後初の0本塁打に終わった。結果が出ない中でも打席に立つと客席からは一番の歓声が注がれる。誰もが背番号「55」のフルスイング、豪快な一発を期待し声をからす。
「どんな状況でも最後まで抗う姿を」
怪我などもあり1年を通してプレーする機会は少なくなっているが「まだ、今年36歳。もっと練習量は増やすことはできる」と断言する。タイプこそ違うが、坂口氏は練習量を落とすことなく38歳まで現役を続け、通算1526安打をマーク。現役最終年は代打での出場も増えたが「常にレギュラーを狙っていた。そこ(代打)の意識が少しでも頭にあると、成績は出ない」と口にする。
現役時代から弟のように可愛がっていたT-岡田に対しても思いは同じだ。
「目標に143試合出場を掲げても決して恥ずかしくない。打率3割を求める選手でもないので、持ち味、長所を出していけばいい。どんな状況でも最後まで抗う姿を見せてほしい」
外野には広島からFA移籍した西川龍馬、中川圭太、杉本裕太郎、茶野篤政らが名を連ね、一塁にも首位打者を獲得した頓宮、外国人とライバルは多い。開幕1軍、そしてレギュラー獲得には春季キャンプ、オープン戦で強烈なアピールは必須。坂口氏は「いい意味でチームのことは考えなくていい。ラインナップに名を連ねてほしいですね」とエールを送っていた。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)