最速129キロ、小6逸材左腕の“進路選択” 大谷翔平の背中追い「高校で“パン”と」

「NPBジュニアトーナメント」で優秀選手賞を受賞した巨人ジュニア・藤森一生【写真:加治屋友輝】
「NPBジュニアトーナメント」で優秀選手賞を受賞した巨人ジュニア・藤森一生【写真:加治屋友輝】

優秀選手賞受賞…巨人Jr.藤森一生が中学で軟式を継続する理由

 昨年末に全国選りすぐりの小学5、6年生が覇を競った「NPB12球団ジュニアトーナメントKONAMI CUP 2023」(2023年12月26日〜28日)。とりわけ注目されたのが、優秀選手賞を受賞した読売ジャイアンツジュニア・藤森一生(ふじもり・かずき)投手(6年)だった。驚異の最速129キロ左腕は中学進学後、軟式で野球を続けるという。

 12球団ジュニアトーナメントで、チームは準優勝にとどまったものの、左投げ左打ちの藤森くん自身は3試合に登板(全て先発)し2勝0敗1完投、防御率1.80。打っても12打数4安打(打率.333)、1本塁打2盗塁をマークした。特に大会2日目(27日)、神宮球場で行われた北海道日本ハムファイターズジュニア戦、投げては4回1/3無失点、打っては3回の打席で自ら先制ソロを放ち、零封勝ち(2-0)の原動力となったのが光った。

 投手として過去最高球速は、昨年11月下旬の練習試合でマークした129キロ。「二刀流の大谷翔平選手に憧れています。最終的にどうなるかはわかりませんが、(中学進学後も)できる限り二刀流で挑戦していきたいと思います」と言い切る。

 普段は軟式少年野球チームの東京・レッドサンズに所属し、中学進学後も部活動で軟式を継続すると言う。「軟球と硬球では重さが全然違う。自分はピッチャーでやっていきたいので、急に硬球にして重くなると、肩などに影響があるかもしれない。中学でしっかり体をつくり、高校で“パン”といきたいと思います」と説明。

「父からのアドバイスもありますが、王貞治さん(現ソフトバンク球団会長)をはじめ、いろいろな選手が高校から硬式を始めて活躍しているので」

大会2日目の日本ハムジュニア戦では本塁打を放つなど投打で活躍【写真:小林靖】
大会2日目の日本ハムジュニア戦では本塁打を放つなど投打で活躍【写真:小林靖】

昨年のWBC優勝メンバーも中学軟式出身者は多数

“世界最多”の通算868本塁打を誇る王貞治氏が、約70年前の中学時代に地元・東京都墨田区の高校生中心の軟式野球チーム「厩四(うまよん)ケープハーツ」でプレーしていた例を挙げるまでもない。

 ロッテ・佐々木朗希投手、DeNAからポスティングシステムでメジャー移籍を目指している今永昇太投手、巨人・戸郷翔征投手、ソフトバンク・近藤健介外野手ら、昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を制した侍ジャパンのメンバーにも、中学時代に軟式でプレーしていた選手はいる。

 軟式から硬式へ転向するのに最適のタイミングは人それぞれで、悩みどころでもある。同世代で抜群の存在感を放った藤森くんの選択の行方には、今後も注目していきたい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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