オリックス伝説の「416号室」は誰の手に? 5年間未使用の“出世部屋”の行方
オリックスの寮「青濤館」、山本由伸が住んだ416号室は空き部屋になっている
年が明けプロ野球界も徐々に動きが出てきた。1月の恒例行事ともいえるのが新入団選手たちの入寮だ。各選手に1人部屋が割り振られ、プロ選手生活をスタートさせる。リーグ4連覇を狙うオリックスでは、ルーキーたちが“伝説の部屋”に目を輝かせている。
オリックスの寮「青濤館」は2017年に神戸から大阪・舞洲に移転した。全42部屋あり、寮生の大半は約11畳の部屋に入る。ただ、そのうちの5部屋は約16畳の“1軍部屋”だ。その名の通り、1軍である程度の成績を残した選手が入ることが許される特別ルームだ。現在使用しているのは2023年の新人王である山下舜平大投手だけ。今オフに“昇格”となった。
5部屋の中で5年間、空き部屋になっているのが、ドジャースに移籍した山本由伸投手が使用していた416号室。山本は2019年オフに1人暮らしを始め退寮したが、その後は誰一人として同部屋の使用を許されていない。誰もが憧れる“出世部屋”だが、山田真実寮長は「もちろん、1軍の選手でないと入れない。僕だけで判断できないが、“それなり”の活躍は必要やろね。球団にも許可を取らないといけない」と新たな選手が入ることを心待ちにしている。
過去にも伝説の部屋は存在した。旧青濤館が神戸にあった当時、406号室の“イチロー部屋”を見学するのがルーキーの恒例行事。イチロー氏が退寮した後は、最後まで入居者が現れなかった。すでに旧青濤館は解体されたが「406 鈴木一朗」のプレートは大切に保管されているという。
1995年に現役引退してからはスコアラー、打撃投手などを務めた山田寮長。ルーキー時代の山本、吉田正尚外野手(レッドソックス)ら一流選手を間近で見てきただけに「相手に流されない。自分自身を持っている選手は活躍する印象。練習もしっかりやる。時代は変わっても活躍する選手の共通点は変わらないと思う」と実感を込めて語る。
7日に入寮したドラフト2位の河内康介投手(聖カタリナ学園)は「自分の誕生日がたまたま4月16日。416号室に何か縁があるというか。誕生日の数字の部屋が山本由伸投手の部屋なんで、そこに入りたいなと思っています」と意欲。同3位の東松快征投手(享栄)も「(416号室を)目指していきたい」と力を込めた。
リーグ4連覇を目指すチームには、毎年のように生きのいい若手が育ち活躍する土壌がある。“出世部屋”を継承する選手が現れる日は、そう遠くないかもしれない。