スカウトが惚れた爆肩「甲斐になれる逸材」 捕手転向わずか1年…18歳が秘める可能性
DeNA育成5位の近藤大雅は専大北上高2年秋に投手から捕手に転向した
DeNAの近藤大雅捕手は、専大北上高から育成ドラフト5位で入団した。新入団11人中“最下位”の指名だったが、捕手転向わずか1年強で掴んだプロ入り。伸びしろ十分の18歳には、担当の河野亮スカウトも「順調にいけば甲斐くん(拓也捕手・ソフトバンク)みたいになれる逸材」と大きな期待を寄せている。
背番号「130」は、甲斐が育成6位でソフトバンクに入団した1年目から支配下を勝ち取るまで背負っていたのと同じ番号だ。捕手になってから、近藤の憧れは甲斐で「ブロッキングがうまいし、肩が強くて捕ってからのスピードも速い。投手に信頼される捕手が甲斐選手だなというのが僕の中であったので、甲斐選手のようになりたい」と夢を描く。
元々は投手で、140キロ台中盤を投じて地元では名の知れた存在だった。高2の夏の終わり、投手として150キロを目標に掲げ、下半身トレーニングのために捕手練習を導入。ちょうどチーム事情も合わさって、秋から本格的に捕手になった。
持ち味は、二塁送球1秒9台前半を誇る肩。惚れ込んだ河野スカウトも「とにかく肩がいい。それに打つのもしっかり振れる。もちろん練習は必要だけど、甲斐くんみたいになってほしい。何より体も強い。兵庫から高校で岩手に行って、馴染むのも早かったと聞いているから順応性もある。本当に楽しみな選手です」と目を細めた。
小学生時代は月1甲子園へ…原口ユニで「外野でバリバリ歌っていました」
実は近藤は昨年11月の新入団選手記者発表会の際、野球を始めたキッカケとして「両親がタイガースファンで。ゴリゴリの、ファンクラブに入っているくらい」と明かしていた。名は「タイガ」。“英才教育”を受けた近藤自身も、小学生のときには野球の練習の合間を縫って月に1度は甲子園に通い、原口文仁捕手のユニホームを着てタオルや応援グッズを持ちながら「外野でバリバリ歌っていました」というほどなのだ。
あれから約2か月。入寮してからはまだ1か月も経っていないが、近藤家には大きな変化が起きているのだという。「家はほとんどベイスターズグッズばかりです。スターマン(球団公式マスコット)のものとか色々あって、階段にまで飾っていました。タイガースグッズはもう使わないので倉庫に閉まっています」。幼稚園に通う妹は、早速ベイスターズのキーホルダーをつけ始めたのだという。
近藤も新人合同自主トレでは課題に向き合いながら過ごす毎日に追われ「以前は見ていた阪神のニュースも全く見ないです。今やることに精一杯で、見ようとも思わない。近藤家はすっかりベイスターズ一色です」と誇らしげな顔を見せた。
「今のままだと到底通用しないと分かっている。ここに入ったからには経験してきた月日とかも関係ないので、ずっとやっている方に1日でも早く追いつかないといけないと思っています」と18歳とは思えないほどの落ち着きで、自分の現在地をしっかりと見つめている近藤。その先には、果てしない可能性が広がっている。
(町田利衣 / Rie Machida)