巨人がキャンプで行う異例の試み 「新監督を盛り上げたい」発案した球団職員の願い
3日から公式グッズショップで関連グッズ順次発売
球団創設90周年の節目に阿部慎之助新監督が就任した巨人は、新指揮官を盛り上げようと、異例の“キャンプ・キャッチフレーズ”を掲げている。「笑うアベには福来たる」。シーズンを通してのチームスローガンは今年も全12球団が設定していて、巨人も「新風~GIANTS CHALLENGE~」を発表済み(阪神は「A.R.E.GOES ON」、オリックスは「おりふぉーWW」……)だが、別にキャンプ限定のキャッチフレーズを設けた例は、あまり聞いたことがない。
宮崎キャンプ2日目の2日には、ジャイアンツ公式オンラインストアで、「笑うアベには福来たる~新風の先に笑顔のSeptember~」グッズの予約販売を開始。3日からは公式グッズショップ「GIANTS STORE」で順次発売する。商品はプリントフェイスタオル(レッド、ブルー各2400円)、プリントハンドタオル(1400円)、アクリルコースター(1000円)、缶バッジ2個セット(900円)、丸型キーホルダー(700円)、スクエアキーホルダー(レッド、ブルー各700円)などだ。
「笑うアベには福来たる」は、球団職員の間で「新監督が指揮を執る春季キャンプを大いに盛り上げたい。キャッチフレーズをつくるのはどうか?」との声が上がり、年明けに議論を重ね、複数の候補が挙がった中から決まったという。
言うまでもなく、ことわざの「笑う門には福来たる」をもじったもので、本来は「笑い声の絶えない家には、自然に幸福が訪れる」という意味である。
「選手のみんなは野球をやれてうらやましい」
阿部監督はキャッチフレーズに寄せて「僕自身もブスッとしているより笑顔の方が、ファンの人たちは気持ちいいでしょうし、選手もきつい練習などありますが、プロですから、見ていただくことが仕事なので、きつい時ほど笑顔でいてほしいと思います」と語っている。キャンプ初日と2日目には練習終了後の記者会見を、キャッチフレーズのロゴが掲げられたボードの前で行った。
阿部監督は2019年限りで現役を引退した後、4年間にわたって巨人の2軍監督や1軍コーチを歴任し、ついに指揮を執ることになったが、キャンプイン当初には「選手みんなが輝いて見える。少しだけ、野球をやれてうらやましいな、と思いました」と述懐。この時は「大谷(翔平投手=ドジャース)くんが『野球しようぜ!』と言っているので、僕も『そうだ、やりたいな』と思いました」と、大谷が日本国内の全小学校約2万校にグラブを3個ずつ、合計約6万個を贈った際に添えたキャッチフレーズになぞらえた。
ある球団スタッフは「ファンの皆さんに『笑うアベには福来たる』を育てていただいて、キャンプ終了後も使われるようになればうれしいです」と期待を寄せる。関連グッズが招き猫並みの縁起物に育つか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)