巨人から移籍の大砲に覚醒予感「相当な戦力に」 専門家が絶賛した“日本流の姿勢”
打ち損じも「自分のやろうとしているスイング。自分の打撃を作ろうとしている」
ソフトバンクにトレードで加入したアダム・ウォーカー外野手が、4年ぶりのリーグ優勝への大きな起爆剤となる可能性が出てきた。春季キャンプの第3クール2日目となった11日、現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏はフリー打撃を行うウォーカーの姿に「着実に進化している気がする」と絶賛した。
「あくまでもこの日の様子を見た限りですが、すごくいい練習をしています」。着目したのは打球の飛距離や柵越えの本数などではなく、打球の質。ほとんどのスイングで中堅方向を意識して打ち返していた。
「左中間から右方向への打球が素晴らしい。強引に打ちにいくとヘッドの軌道が(こねるように)返ってしまうのですが、今日は素直にバットが出てきていた。そこに持ち前のパワーが乗っかっていくからすごい打球ですよ」
左中間への打球も強引さがないため「スライス気味に飛んでいる。右方向を意識しているからバットが内側から出ているのだと思います。そうなると外の変化球にも引っかからなくなる」。打ち損じの打球でも「自分のやろうとしているスイングをしている。自分の打撃を作ろうとしている。普通、新しくきた外国人はブンブン振り回すんだけど、日本の野球に慣れて少し落ち着いて見えた」と分析した。
「今日だけの練習を見れば、この意識で続けていたら成績は残すと思います」
意識の高い打撃練習はDeNAのタイラー・オースティン外野手の1年目を連想させるという。「彼も全部センターから右方向。ホームランになろうが、なるまいがお構いなし。結局、怪我したけど、すごく打ったでしょ」。65試合の出場に終わったものの打率.286、20本塁打、56打点の数字を残した。野口氏は「ウォーカーもパワーは遜色ないですから。むしろウォーカーの方が上かもしれません」。
新加入の32歳は来日1年目の2022年には巨人で23本塁打を放ったが「今日だけの練習を見れば、この意識で続けていたら成績は残すと思います。相手バッテリーは抑えるのに苦労するでしょう。相当な戦力になりますよ。1年目を超えるどころか30本だって打つ可能性はある」と称賛した。
またウォーカーと同じ組で柳田悠岐外野手も打撃練習。持ち前の豪快なスイングで柵越えを何本も披露した。野口氏は「このクラスの選手には全く心配入りません。打球の内容よりも、自分の中で段階を追っている。どこか痛そうにしている雰囲気がなければいい。その感じは見受けられないから順調でしょう」と語った。
2人の打撃を見ようとメーン球場のアイビースタジアムのスタンドは満席となり、立ち見のファンも出たほど。両者が打ち終え、次の組に移った途端に空席が出来始めた。ウォーカー&ギータへの期待が垣間見えた打撃ショーだった。
(湯浅大 / Dai Yuasa)