親子で“失敗しない”野球チームの選び方 「出番多くてうんざり」に陥らない質問事項

親子のニーズに合う少年野球チームの選び方とは(写真はイメージ)
親子のニーズに合う少年野球チームの選び方とは(写真はイメージ)

少年野球の体験会で見るべきこと…現役監督・先輩ママが語るポイント

 春を迎えて、新しく「野球に挑戦したい!」「挑戦させたい!」と思っている親子におすすめしたいのが、少年野球チームでの見学や体験会への参加だ。とはいえ、そこでは何を見るべきなのか、チーム選びの判断に迷うことも少なくない。そこで、監督や先輩ママたちから寄せられた回答やこれまでの取材をもとに、体験会でのポイントについてまとめた。

「野球を自由にやりたいのか、それとも極めたいのか。子どもが何を求めているのかで、チームの選び方も変わってきます。体験会では、指導者にチームの目標を聞いてみてはどうでしょうか。どんな目標を持って取り組んでいるかを保護者も理解し、お子さんの希望と合っているチームを選ぶのは大切だと感じます」

 そう回答してくれたのは、福島県いわき市・常磐軟式野球スポーツ少年団の天井正之監督だ。全国大会出場35度を誇る同チームには、「全国に行く」という明確な目標がある。子どもも保護者も、その目標を理解した上で入会してくる。

 みんなで楽しく野球をやりたい子なら、「まず野球に親しもう」というスタンスの軟式学童チームが向いている。

 地域で少し聞いてまわれば、通える範囲にある少年野球チームの特色は、ある程度わかるものの、やはり体験してこそ「雰囲気を実感できる」ことは多い。軟式学童は小学校の通学区域を所属範囲としていることも多いが、最近は、いわゆる「習い事」として月謝を払って野球を学ぶスクールもある。保護者の係もなく、広範囲に送迎バスを回しているなど、費用面を別にすれば親にかかる負担はほとんどない。チームカラーや運営方法が異なるチームを複数体験してみると、比較検討しやすい。

子どもの気持ちを知るための「聞き出し方」

 では、子どもの気持ちはどのように見極めていけばいいのだろうか。まずは親子で、どのようなスタンスで野球をやりたいのかを話し合ってみよう。

 あるママは「バッティングセンターに行ってみたり、軟式球を購入して壁投げをしたり、パパと一緒にちょっとだけ野球に触れる機会を作りました」と語ってくれた。子どもがどれだけ真剣に取り組むか、夢中になるかを見守りながら「野球チームもいろいろあるよ。本格的な指導をしてくれる全国を目指すようなチームは、部員も多いし大変だけど、きっと野球もすごく上達する。逆に学校の友達もいて、楽しく野球をやるチームもいいよね」と、具体的な提案を示して、子どもの気持ちを聞き出していったという。

 このママは、通える範囲にあった3つのチームを親子で見学に行った。「とにかく野球をやってみたい、でも怖いところは嫌だ」と子どもが言うので、

・わが子だけでなく、他の子どもたちも楽しそうにしているか
・指導者の説明がわかりやすく、方針が明確かどうか

 この2つを基本にして、チームの様子を観察したそうだ。

「プロ野球選手になりたい」「大きな大会で活躍したい」気持ちが強い子なら、地域でも強豪といわれるチームや、高い目標を設定しているチームの体験会に参加してみよう。そこで、高みを目指すことに力がわいてくるのを子どもが感じるようなら、その子に向いているチームだといえる。

 体験会では指導者にも話を聞き、コーチの声がけや指導を注意深く見て、子どもがなじめそうか、続けられそうかを見極めていくことも大切だ。

保護者の役割については入団前にきちんと確認を(写真はイメージ)
保護者の役割については入団前にきちんと確認を(写真はイメージ)

「親の手伝い」についても体験会で聞いておこう

 長男は中学硬式チーム、次男は学童チームに入っている宮崎さんは、「体験会では親の役割についてきちんと聞き、全体の雰囲気を見ること」と、First-Pitchの取材で答えている。今は体験会に来るママたちに対応するマネジャー役だが、多くの保護者が聞いてくるのが、やはり「当番について」。保護者にとってどれくらいの負担があるのかは、実際問題として気になる点である。

 少年野球における親の出番の多さに「うんざり」という声は今も多い。しかし、中には当番制を最低限にしているチームもあるし、こうした声に対応しようと改善に取り組んでいるチームもある。

 例えば、昨年学童野球で“全国3冠”を果たした大阪の「新家スターズ」は、10年ほど前から一般的な保護者の当番は一切なしにしているという。同じく大阪の「レジリエンスソウル」も保護者負担がないスタイル。東京の「練馬アークス・ジュニア・ベースボールクラブ」には父母会はなく、練習は週1回4時間以内、当番や係はない。これらのチームは野球育成悩み解決サイト「First-Pitch」でも取り上げているが、保護者負担がゼロとまではいかなくとも、軽減しているチームは少しずつ増えている。

 ただ保護者に負担はあるにせよ、地域の学童野球だからこその良い面があることも知っておきたい。親同士の付き合いが「わずらわしい」という声もあるが、子どもを通して「新しいコミュニティに参加する良さもある」と前出の宮崎さんは語っている。少年野球の間は大変だったが、振り返れば親子で濃い時間が過ごせたと語る保護者も決して少なくはないことも心に留めておきたい。

 親の負担について周囲に聞ける人がいない場合にこそ、体験会は良いチャンス。しっかりと保護者の協力すべき点を確認し、納得した上で入会することも「親の出番が多くてウンザリ、野球をやめさせたい」を避けるポイントだ。

練習試合見学もオススメ「保護者の関係性も把握しやすい」

 まとめると、少年野球の体験会で見るべき・聞くべきポイントは5つだ。

1、チーム全体の雰囲気
2、チームの目標
3、指導方法・指導方針
4、親の係やお手伝い
5、親同士の雰囲気

「体験会だけでなく、練習試合を観戦してみるといいですよ。子どもたちがどんな感じで試合に臨んでいるのかでチームの考え方もわかるし、応援に来ている親を見れば、保護者の関係なんかも把握しやすいです」と教えてくれたママもいた。

 百聞は一見にしかず、だ。見学から始めて、体験をして、子どもがいきいきと野球に熱中できるチームを選びたい。

(大橋礼 / Rei Ohashi)

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