将来のエース候補→2度手術で3年の空白 元有望株の挫折…同僚との絆で掴んだ“再起”
約3年ぶりの実戦マウンドで最速153キロ、1回を無失点
“エース”の復活か、はたまた――。マーリンズのシクスト・サンチェス投手は2日(日本時間3日)、メッツとのオープン戦に登板。1回を無安打無失点、1奪三振に抑えた。数年前は球界有数の有望株と目された右腕も、度重なる故障によりメジャーで3年間登板できず。久しぶりの実戦復帰にファンから「期待している」「感動」「見守りたい」と感涙の声が上がっているが、立場は安泰ではないようだ。
サンチェスは2020年8月22日にメジャーデビューを果たし、平均98.5マイル(約158.5キロ)のフォーシームとチェンジアップを武器に7先発で3勝(2敗)、防御率3.46を記録。プレーオフではダルビッシュ有投手(当時カブス)と投げ合い、2021年には野球専門誌「ベースボール・アメリカ」の有望株ランキングで全体7位に位置付けられた。しかし、その後は暗転する。
2021年の開幕前に右肩を痛め、同年と2022年に手術を受けて長期離脱。2023年のスプリングトレーニングでは、約45ポンド(約20キロ)の減量に成功した姿を見せたものの、結局実戦ではシーズン終盤に、2Aペンサコーラで1イニング投げただけだった。
迎えた今年のスプリングトレーニング初日、サンチェスは大胆な宣言をした。「今年こそはと思っている」「自分自身のために多くの努力をしてきた。カムバックできるよう、全力を尽くしてきた」。そして2日(同3日)、サンチェスは最高球速95.3マイル(約153.3キロ)を計測するなど1回無失点。「すべてがうまくいった。ホッとしたよ。多くのチームメートが『君ならできる』って言ってくれたんだ」と喜びを語った。
もっとも、事態はそう簡単ではない。サンチェスはマイナーオプションを使い果たしたため、ウェーバーにかけられることなくマーリンズに留まるためには、開幕ロースターに入るか、負傷者リストに入ってシーズンをスタートさせなければならない。メル・ストットルマイヤーJr.投手コーチは「今が彼にとっての正念場だ」と強調する。
一方で地元紙「マイアミ・ヘラルド」のジョーダン・マクファーソン記者は、ブルペン転向の可能性も示唆しながらも「マーリンズはサンチェスから得られるものは何でも得ようとするだろう」と、右腕の秘める能力に期待もしている。表舞台から姿を消して約3年。果たして将来を期待された剛腕は、その真価を発揮できるだろうか。
(Full-Count編集部)