プロ志望に「何言ってんだ」 半信半疑だった監督も感服…選抜注目スラッガーの“有言実行”

豊川のモイセエフ・ニキータ【写真:橋本健吾】
豊川のモイセエフ・ニキータ【写真:橋本健吾】

プロ注目のモイセエフ・ニキータ外野手「全ての面で成長した姿を見せたい」

 プロ注目のスラッガーが選抜の“主役”に名乗りを上げる。10年ぶり2度目出場となる豊川(愛知)のモイセエフ・ニキータ外野手は、昨秋の東海大会で驚異の打率.625を記録し、ここまで高校通算14本塁打。自身初の甲子園に向け「走攻守はもちろん、長打力。ホームランを打ってスカウトにアピールしたい」と、意気込む。

 今大会、注目の選手の1人だ。一冬越え、体重は昨秋から3キロ増の85キロに。身長180センチ、左投左打の大型スラッガーは「甲子園は憧れの場所。想像するだけでワクワクする。早く試合がしたい」と、聖地でのプレーを楽しみにしている。

 昨秋の明治神宮大会準決勝では、優勝した星稜(石川)に3-15の大敗。だが、初回の第1打席では内角高め直球をフルスイングし、右翼スタンドに放り込む豪快な一発を放った。“秋の全国大会”で存在感を見せ、厳しい冬の練習を乗り越え、満を持して選抜大会に乗り込む。

「この冬に取り組んだことを大舞台で発揮する。打率、ホームラン、打点。全ての面で成長した姿を見せたい。全国レベルの投手からどれだけ打つことができるか。勝利に貢献できる打席を増やしていきたい。追い込まれた場面、プレッシャーがかかる時ほど『やってやる』と思えるメンタルもつきました」

長谷川監督が驚く“有言実行”「技術以外での凄さがある」

 長谷川裕記監督もニキータの成長に目を細める。「入学直後から『プロ野球選手になりたい』と言ってました。線も細くて、その時は何言ってんだコイツ、と思っていましたが、彼は有言実行。そこが素晴らしいところ」。広角に打ち分ける打撃技術は群を抜いていたが、体の強さが圧倒的に足りなかった。プロを目指すには長打力も必要だった。

 ニキータの本気度に胸を打たれた長谷川監督は“約束事”を決めた。入学当初は65キロだった体重を、2年生になる春までに80キロ、夏は82〜83キロで走れる体作り。そして、最終学年を迎えた今春は85キロ、最後の夏は90キロを目標とした。ノルマをクリアしていく姿に「技術以外での凄さがある。口ではなんとでも言えますが、それを確実に達成する。なかなかできない」と、指揮官も驚きを隠せない。

 ニキータ自身も手応えを感じている。今大会から低反発バットが導入され、打球が飛ばなくなることが予想される。しかし、「しっかり捉えれば飛距離は変わらない。走攻守でアピールしていきたい。ソフトバンクの柳田選手が完成形だと思っています。そこを目指したい」と力を込める。

 憧れの甲子園はすぐそこだ。小学時代に見た景色を忘れることはできない。2018年、根尾昂(中日)や藤原恭大(ロッテ)らがいた大阪桐蔭が成し遂げた春夏連覇に衝撃を受けた。「根尾選手、吉田(輝星)選手。凄い選手に目を奪われました。僕も甲子園で『ニキータ凄い』と言われる選手になりたい」と活躍を誓う。豊川の初戦は大会第2日(19日)の第1試合で、阿南光(徳島)と対戦する。世代No.1の打者になるために、初の聖地で大暴れする。

【実際の動画】監督も絶賛する「有言実行」 プロ注目のモイセエフ・ニキータを擁する豊川高校の練習に潜入

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