16歳で渡米、即気づいたMLB選手の優位性 文化の違いで“超重要部位”「使い方上手」

MLBジャパンのイベント「PLAY BALL」で指導するマック鈴木氏【写真:内田勝治】
MLBジャパンのイベント「PLAY BALL」で指導するマック鈴木氏【写真:内田勝治】

マック鈴木さんが未就学児らに指導…股関節を曲げてカッコよく「拾う」練習

 日常生活のちょっとした工夫が、野球の上達に役立つトレーニングへと変わる。幼少期から意識して行えば、効果も絶大だ。日米通算170試合に登板し21勝を挙げたマック鈴木さんが、9日、東京・渋谷区の代々木大山公園で開催された、メジャーリーグベースボールジャパンのイベント「PLAY BALL」に参加。岩隈久志さん(マリナーズ特任コーチ)と共に、未就学児から4年生までの小学生約250人を対象に野球教室を行った。

 マックさんは未就学児に対し、まずは野球に興味を持ってもらえるようなボール遊びを紹介。軽いカラーボールを空中に投げる間に、手を複数回叩いてからキャッチするゲームを行った。

 冷たい強風の影響で落球する子も多く、「難しい!」との声も。それでもマックさんが「野球の試合は風が吹くことも、雨の中でも試合をすることがあります。今日がベストコンディションだと思ってください」と呼びかけると、子どもたちも「は~い!」と元気いっぱいに応えた。

「風や寒さを心配していたんですけど、元気な子どもたちばかりですごく楽しかったです。僕はそういう学年(未就学児)に対して野球教室や運動教室みたいなこともさせてもらっているので、逆に静かな方が怖いですよ(笑)」

 ボール遊びのほかに、保護者も思わず腰をかがめて見入ってしまうほど興味津々だったのが、落ちているボールやモノを“カッコよく「拾う」”練習だ。ポイントは、膝を曲げず、股関節から曲げて拾うこと。1991年、16歳の若さで渡米したマック氏は、メジャーリーガーやその卵たちが、股関節を使ってゴロを捕球していることに早くから気づいていた。

参加者の前でキャッチボールを披露するマック鈴木氏(右)と岩隈久志氏【写真:内田勝治】
参加者の前でキャッチボールを披露するマック鈴木氏(右)と岩隈久志氏【写真:内田勝治】

空手の影響で柔らかかった股関節…科学的トレあれば「もう少しやれたかも」

「日本人は正座したりあぐらをかいたりと、床に座る文化なのでどうしても足首と膝を使いがち。欧米の人たちは足首や膝は硬いんですけど、(ボールなどを)拾えるじゃないですか。それは、股関節を使うのが上手だからなんです。そういう動きが今、野球の中に入ってきているので、小さい時から(日頃の動作に)入れておいた方が自然にできます」

 自身は5歳から習っていた空手で回し蹴りなどの動作を行っていたこともあり、「気づいた時には股関節が柔らかかった」という。ただ、現代に比べて科学的トレーニングなどが発達していない時代。上半身と下半身をつなぐ“超重要関節”に備わっていた柔軟性を十分に生かしきれず、「自分が現役時代に知っていたら、もう少しやれたと思うんですけどね(苦笑)」と、自身の反省も生かしながら指導している。

 この股関節を使ってモノを拾う動作、まずは保護者にこそやってほしいとマックさんは強調する。

「子どもは視覚からその情報を得るじゃないですか。お父さんやお母さんがそういう動きをしていると、子どもも(股関節を)曲げる、しゃがむが入ってきます」

 子は親を見て育つ。まずは保護者がしっかりとした見本を見せることが、子どもたちの無限の将来につながってくる。

(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

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