指導者としてNPB復帰も? 3年ぶりの日本球界…陽岱鋼がオイシックスを選んだワケ

入団会見に臨んだオイシックス・陽岱鋼【写真:小池義弘】
入団会見に臨んだオイシックス・陽岱鋼【写真:小池義弘】

7月31日までNPB球団移籍も可能「いい手本になるだろうと思う」

 37歳のベテランが、新天地を新潟に求めたのはなぜか──。今季からNPB2軍のイースタン・リーグに新規参加するオイシックスは14日、かつて日本ハム、巨人で活躍した陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)外野手の入団会見を新潟市のハードオフエコスタジアム新潟で行った。昨年まで2年間は米国の独立リーグでプレー。2021年限りで巨人を退団して以来、3年ぶりの日本球界復帰となる。

 会見にはメディア12社が集まり、NPB球団で選手、コーチとして豊富な経験を持つ橋上秀樹監督は「このチームの会見に、これほどたくさんのメディアの方に集まっていただいたのは初めてではないか」と口元を綻ばせた。昨年までルートインBCリーグで戦っていたが、イースタン参加に伴って試合数が倍増し、新たなスポンサーを開拓して選手数も増やした以上、全国的な知名度、注目度アップは喫緊の課題だ。

 池田拓史球団社長も「イースタン参加初年度に、スタープレーヤーに在籍してもらいたいと考えていた」と明かす。日本ハム時代に外野手としてゴールデン・グラブ賞4度、盗塁王1度を誇り、イケメンと躍動感あふれる華麗なプレースタイルも相まってファンに人気を博していた陽は、うってつけの存在といえるだろう。

 さらに橋上監督は「プレーヤーとして大いに期待していますが、(オイシックスは)NPB(球団入り)を目指している選手が圧倒的に多いので、つい最近まで経験していた選手の言葉として、いろいろなものを伝えてもらいたい。練習の姿勢、ゲームに向かう姿勢など、全てが若い選手にとっていい手本になるだろうし、参考になる部分が非常に多いと思います」と付け加えた。

 また、オイシックスには前阪神・高山俊外野手、前広島・薮田和樹投手、前巨人・三上朋也投手、元オリックス・吉田一将投手、元ヤクルト・中山翔太外野手らも所属。陽を含め過去にNPB球団に所属したことのある選手は、シーズン中であってもNPB球団への移籍が可能だ(支配下登録期限の7月31日まで)。

23日にホーム開幕戦「調整具合は60~70%」

 ただ、陽は「いきなりNPB復帰、復帰と自分にプレッシャーをかけるのではなく、目の前のことをしっかり考えて、どうやって一歩目を踏み出すかを大事にしたい」と慎重な姿勢を示した。

 オイシックスは16日に埼玉・戸田でヤクルトを相手にイースタン開幕戦に臨み、23日にはハードオフ新潟でホーム開幕戦が控えているが、調整具合は現時点で本人いわく「60~70%」程度。橋上監督は「ホーム開幕戦をめどに調整してみて、どうなるかというところ。新潟は寒いので、慎重に調整を進めさせたい」と手綱を引く。

 指揮官は「(陽は)もちろん選手としてNPBに戻ることが一番ですが、将来的に指導者としてNPBに戻れたらという気持ちもあるのではないか。オイシックスにいればNPB球団と対戦し、関係もできやすいですから」と見ている。

 陽は台湾出身だが、「高校(福岡第一高)時代から約20年間日本で生活してきて、自分にとって一番生活しやすい国です」とうなずく。日本ハム時代に台湾出身の女性と結婚したが、現役引退後も家族と一緒に日本を拠点に生活していく意向が強いようだ。

 とはいえ、陽は昨年も米独立リーグで97試合に出場し、打率.271、10本塁打58打点をマークしており、体はまだ動く。くしくもこの日、長友佑都が陽と同じ37歳で日本代表に復帰することが発表された。陽にも、NPB球団が腰を浮かせるような活躍を期待したい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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