井口前監督が絶賛…ロッテ22歳ドラ1は「能力が非常に高い」 現地で唸った“打撃技術”

ロッテ・上田希由翔【写真:小池義弘】
ロッテ・上田希由翔【写真:小池義弘】

オリックスは山本由伸が抜けるも「投手力がある」

 3月29日、いよいよ今季のプロ野球が開幕する。オープン戦も大詰めとなり、各球団の開幕メンバーが徐々に明らかになってきた。だが、まだ開幕前とはいえ、ファンが気になるのはペナントレースの行方だろう。大きく戦力が入れ替わったチーム、ほぼ変わらずに底力を上げたチームなど様々だが、専門家はどう見るのか。

 春季キャンプでパ・リーグ6球団すべてを視察したという野球評論家の井口資仁氏は「やはりオリックスとソフトバンクは、チーム全体の戦力はもちろん、特に投手陣の戦力が頭抜けていましたね」と話す。

「オリックスは絶対的エースの山本(由伸)が抜けましたが、層は厚い。キャンプでは山下舜平大のブルペン投球を捕手の後ろから見させてもらいましたが良かったですね。元々小さいテイクバックがさらに小さくなって、球の出どころが見づらかった。山本の抜けた穴は大きいけれど、埋められる投手力があるチーム。打線も、広島から西川(龍馬)が加わったことで厚みが増す。中嶋(聡)監督は手堅い野球をしますし、投手がいいので1点取れば勝つチャンスが生まれますよね」

 ソフトバンクは昨季終了後、積極的に戦力の入れ替えを行った。打線ではFAの目玉だった山川穂高内野手、トレードで巨人からアダム・ウォーカー外野手を獲得。投手では、現役ドラフトで日本ハムから長谷川威展投手が加わった。

 井口氏が「層が厚い」と太鼓判を押す先発陣は、開幕戦は有原航平投手、ホーム開幕は和田毅投手と早々に確定。さらに、今季から先発に転向したリバン・モイネロ投手も開幕カード3戦目に決まった。その他、石川柊太投手、板東湧梧投手、東浜巨投手、カーター・スチュワート投手、大津亮介投手らがローテーション争いを繰り広げている。守護神のロベルト・オスナ投手を筆頭にブルペン陣も盤石と言えそうだ。

西武のヘスス・アギラー【写真:小林靖】
西武のヘスス・アギラー【写真:小林靖】

外国人選手次第では面白い存在になりそうな西武

 この2チームに「どこまで食い込めるか」と目するのは古巣のロッテだが、新外国人選手のアジャスト次第では西武も面白い存在になりそうだという。

「西武も元々投手陣がいい。山川がいなかった昨季はチーム本塁打数(90)がリーグ最少で苦しい戦いが続きました。山川が移籍した今季は(フランチー・)コルデロと(ヘスス・)アギラーを獲得しましたが、この2人がハマれば面白い。右のアギラーは体が大きいけれど柔らかい打撃をする選手。すごく器用だと思いますよ。キャンプで見た時は、左のコルデロの方が適応力は高そうに見えた。得点力アップのカギは2人が握っていそうです」

 外国人選手といえば、日本ハムはオフに育成も含め6人を獲得し、球団史上最多となる8人が所属する。そのうち、7年目を迎えるブライアン・ロドリゲス投手を筆頭に、2021年以来2度目の所属となるドリュー・バーヘイゲン投手ら5人が投手だが、その甲斐もあってか、井口氏も「日本ハムは戦力的に投手が揃っているので面白い戦いができそう。今季は最下位ではないと思います」と予想する。最近は2年連続リーグ最下位で、就任3年目の新庄剛志監督も今季こそは“定位置”を脱出したいところだ。

 今季は厳しい戦いが予想されるのが、オフに今江敏晃新監督を迎えてチームの若返りを図った楽天だ。外国人選手は日本で実績のある前日本ハムのコディ・ポンセ投手、前広島のニック・ターリー投手を獲得。現役ドラフトではDeNAから櫻井周斗投手が加わったが、井口氏は「戦力的に物足りなさを感じてしまう」と話す。

「これまで長いイニングを投げ続けてきた則本(昂大)がクローザーに転向したので、誰がその分のカバーをできるか。田中(将大)、岸(孝之)といったベテランに頼るのではなく、早川(隆久)ら若手にエース級の働きをしてほしいところでしょう。せっかく最後に則本が控えていても、出番が少なければもったいない。打線も含め、則本までどう試合を組み立てるかですね」

ロッテ前監督・井口資仁氏【写真:舛元清香】
ロッテ前監督・井口資仁氏【写真:舛元清香】

井口氏が注目するルーキー3選手とは…

 最後に今季の新人選手の中で井口氏の注目株について聞くと、3人の名前が挙がった。

「ロッテのドラフト1位、上田希由翔が良かったですね。特に、打撃面でのコンタクト能力が非常に高い。まだ長打は少ないかもしれないけれど、これからでしょう。本職は三塁ですが、一塁も練習していましたし、2軍戦では二塁にも出たと聞いています。面白い存在になりそうですね。

 投手でいえば、日本ハムのドラフト1位、細野晴希がいい球を投げていましたね。2軍スタートだとは思いますが、非常に質の高い真っ直ぐを投げていました。もう1人、残念ながら投げる姿を直接見ることはできなかったものの、西武のドラフト1位、武内夏輝にも注目しています。投手力に定評のある西武で首脳陣からの評価が高いとなれば、自然と期待も高まりますから」

 ペナントレース開幕の号砲が鳴るまで、あとわずか。例年にも増してエキサイティングなシーズンとなることを期待したい。

【井口資仁氏新刊発売情報】
井口氏が監督退任後、初めてとなる書籍「井口ビジョン」が3月21日に発売される。プロ野球では日本一、メジャーでは世界一を経験し、ロッテ監督としては2025年に常勝球団となるべくチーム再建を図った井口氏は、アマチュア期も含め、どのようなビジョンを持って歩んできたのか。そして、未来に向けて描くビジョンとは……。

■井口ビジョン / 井口資仁(KADOKAWA) 定価:1760円(税込)
詳細は→ https://www.kadokawa.co.jp/product/322307000502/

(佐藤直子 / Naoko Sato)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY