安樂を待ち受ける“過酷な現実”「トレードで済むなら御の字」 経験者が語る劣悪な環境

元楽天・安樂智大【写真:荒川祐史】
元楽天・安樂智大【写真:荒川祐史】

レッドデビルズでプレーした、くふうハヤテの平間が語るメキシカンリーグ

 昨年12月に楽天から自由契約になっていた安樂智大投手がプレーするメキシカンリーグのディアブロス・ロホス・デル・メヒコ(メキシコシティ・レッドデビルズ)について、2022、2023年に同クラブでプレーした現くふうハヤテ(NPBウエスタン・リーグに加入)の平間凜太郎投手が、チーム状況を明かした。

「メキシコで1番環境のいいチームです。ロッカーは広くて綺麗。クラビー(世話係)もいて、チップを渡せば洗濯して、スパイクも磨いてくれる。温かい食事も用意してあって、ビールもあります。風呂と水風呂もあって交代浴もできたのは、風呂好きの日本人として本当に助かりました」

 球団のオーナーのアルフレド氏は有力な実業家で、宿舎も同氏が経営する高級ホテル。「大きいベッドがあって、夜景が綺麗な部屋。食事もバイキングでメニューが豊富でした」と語った。

 話を聞く限りでは、恵まれているようだが、投手としては“死活問題”があるという。メキシコシティにある本拠地球場は標高2200メートル超の位置にあり、高地だと空気抵抗が少ないために「打球がものすごく飛びます。上がればフェンスを越えてしまうようなイメージ」と振り返る。

 昨年5月にはダルビッシュも同じ球場で開催されたジャイアンツ戦に登板。3本塁打を浴びるなど苦労した。平間も2022年6月にレッドデビルズに加入したが、“飛ぶ球場”で結果を残せずに1か月でアルフレド氏がオーナーを務めるもう1つの球団、オアハカ・ウォーリアーズにトレードされた。ここが一転して過酷な環境になるという。

レッドデビルズ時代の平間凜太郎【写真:本人提供】
レッドデビルズ時代の平間凜太郎【写真:本人提供】

オーナーが所有する別球団にトレード…本拠地は貧困街で「とにかく治安が悪い」

「この球団は、メキシコシティ(レッドデビルズ)と比べると天と地の差があるんです」。オアハカはメキシコでもっとも貧困層が多い街とされているそうで「とにかく治安が悪い。水も衛生的に危険。タクシーはぼったくられるし、危険な場所に連れて行かれることも」と振り返った。宿も「普通のビジネスホテル」に格下げとなったという。

 野球に専念するのも難しい環境だ。さらに平間は現在のレッドデビルズについて「トレードで済むなら、まだ御の字ではないでしょうか。レッドデビルズはつい先日も20人ほどをクビにしていましたから。その中には安樂選手ではない日本の選手もいたようです」と語った。

 いずれにせよ安樂は“投手不利”とされるレッドデビルズの球場で結果を出さないと、さらに厳しい現実が待っているということだ。楽天時代に後輩選手へのパワーハラスメント行為で自由契約となった右腕に、試練が待ち受けている。

 なお、レッドデビルズには昨季DeNAでプレーしたトレバー・バウアー投手がスプリングトレーニング期間の代わりとして4月11日(同12日)から5月8日(同9日)までの間、5試合に登板することで合意している。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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