2年生エースの“魔球”は「プロと同じ数値」 映画で勉強…衝撃の軌道は「バントでも当たらない」
健大高崎の2年生エースが7回2安打の好投
第96回選抜高校野球大会は26日に2回戦2試合が行われ、第1試合で健大高崎(群馬)が明豊(大分)を4-0で破り、準々決勝進出を決めた。エースの佐藤龍月(りゅうが)投手(2年)が7回106球を投げ、2安打6奪三振無失点の好投で勝利に貢献した。キレ抜群の変化球で明豊打線に付け入るスキを与えず、学法石川(福島)との1回戦と合わせ、14イニング無失点となった。
佐藤は初回に2つの三振を奪うなど上々の滑り出し。3回に2者連続四球を与えピンチを招いたが、「ギアを上げました」と最も得意とするスライダーで相手4番・石田智能内野手(3年)を三振に仕留めた。「4回以降は変化球主体で打たせて取るピッチングに切り替えました」。3回まで61球。球数を要していたことにも冷静に対応した。
2年生左腕は7回まで投げ、8回からはマウンドを同学年の石垣元気投手に託し、中堅の守備に就いた。味方打線は初回に2本の安打から犠飛などで2点を先制。6回と7回にも1点ずつ追加した。
この試合、明豊打線を苦しめたのは巧みな変化球だった。スライダーの調子は良くなかったとしながらも、カーブなど緩い変化球を駆使し打者を翻弄。ここぞという場面では“伝家の宝刀”を繰り出した。「ギアを上げた時のスライダーはいつもよりキレがいい」と胸を張った。
スライダーは「プロの投手と同じくらいの数値」
絶対的な自信を持つスライダーだが、習得したのは意外にも高校に入ってから。「大谷翔平投手の投げ方を映画で見て参考にしています」とドキュメンタリー映画「Shohei Ohtani – Beyond the Dream」で勉強していると明かす。
箱山遥人捕手(3年)は「曲がり幅はプロの投手と同じくらいの数値があります」と証言する。最大の特徴はインステップ。プレートの一塁側を使い、さらに一塁側に踏み出して投げる事で、強烈な曲がり幅を生み出している。
練習で打席に立ったチームメートも「(左打者は)背中から来て、体に当たると思っていたら外角に決まっています。バントでも当たらないです。チャンスないです」とお手上げ。右打者の選手も「外角から来たと思ったら、自分の右足の後ろでキャッチャーが捕っていました」と驚愕する。
敵も味方も圧倒する“魔球”を駆使し、8強入りに導いた。2年生ながら強豪校の背番号「1を」背負い、大舞台で躍動する左腕エース。甲子園での無失点を伸ばすか、今後の投球に大注目だ。