「折られるの初めて」7回までノーノー&バット3本破壊 プロ注目右腕…OBドラ1上回る実力
広陵・高尾響が青森山田戦で木製バット3本を破壊…7回までノーノー
第96回選抜高校野球大会は27日に2回戦4試合が行われ、第2試合で広陵(広島)が青森山田に延長10回タイブレーク5-6でサヨナラ負けを喫した。プロ注目のエース、高尾響投手(3年)は7回まで無安打投球だったが、終盤に打ち込まれた。
高尾は初回、先頭打者に死球を与えながらも無失点で切り抜けると、勢いは止まらず7回まで無安打9奪三振の快投。「(ノーヒットノーランは)意識はしていませんでした」とあくまで冷静沈着だった。
4回には青森山田の3番・対馬陸翔外野手(3年)、7回と8回には5番・吉川勇大内野手(3年)の木製バットを折った。高校野球ではまず見ることのない光景に、球場からはどよめきが起きた。「伸びのある球を意識しています」。キレのある直球には絶対の自信を持つ。
今大会から低反発の金属バットが導入され、木製バットをあえて使う選手も現れ始めている。その1人である吉川はバットを2本折られ、「今まで対戦した中でも間違いなく上位の実力でした。初めて(バットを)折られました。想像より球の勢いと変化球がえぐかったです」と、右腕の実力を肌で体感し目を丸くした。
終盤に暗転…142球の熱投も延長10回サヨナラ負けを喫した
8回に2点を先制し、迎えたその裏のマウンドだった。先頭の代打・蛯名翔人内野手(2年)に左中間二塁打を浴び、ついに初安打を許す。球場からはため息が漏れた。「疲れはなかった」と振り返ったものの悔いが残る1球。さらに1死から2者連続四球を与え満塁のピンチを背負うと、3番の対馬に右前2点打を許し同点に追い付かれた。
広陵は9回、途中出場の世古口啓志内野手(2年)の2点打などで3点を加え、5-2に。試合は決まったかと思われたが、その裏に再びつかまった。四球と2本の安打で1死満塁のピンチを迎え、1番の佐藤隆樹外野手(2年)に走者一掃の三塁打を許し同点に。タイブレークに突入した。
広陵は無得点に終わり、嫌なムードのまま10回裏へ。先頭にセーフティバントで出塁を許し無死満塁とされ、4番・原田純希内野手(3年)に中堅後方へ犠飛を許し、万事休した。
中井哲之監督は「本当によく投げてくれました。最後まで継投は考えていませんでした。後悔したくなかった。エースなので」と厚い信頼を口にした。控え投手陣の実力を十分に認めながらも、高尾に託した。
8回以降は苦しい投球となったが、計12奪三振。2試合で18回1/3を投げて23奪三振と、実力は見せた。1失点完投した1回戦の高知戦後、中井監督も広陵OBの広島・野村祐輔投手やソフトバンク・有原航平投手と比較しても「勝てる子です。完投能力があり、連投できる。勝てることに関しては1番」と語るほどの逸材だ。
高尾は試合後「リードを守れなかったことは一番反省しています」と声を振り絞った。目の前でこぼれた勝利を取り返しに、夏また帰ってくるつもりだ。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)