巨人24歳が危機感「言い訳はできない」 首脳陣が懸念する“2つの穴”…求められる固定
昨季は14選手が務めた1番打者“問題”
今季から阿部慎之助監督が就任した新生巨人は、開幕カードで昨季日本一の阪神に2勝1敗とカード勝ち越しを決め。好スタートを切った。今季はV奪回に向けて、打線の「1番」と「3番」の人選がクローズアップされそうだ。
巨人は4位に沈んだ昨季も、チーム打率はリーグトップの.252をマークしていた。しかし、1番打者は14選手が務め、最も多く務めた吉川尚輝内野手も35試合の起用に過ぎなかった。1番打者トータルの打率は.252、出塁率は.302。124試合務めた近本光司外野手ら5人で打率.277、出塁率.371をマークした阪神との差は一目瞭然だった。
昨季は3番打者も固定できなかった。今季開幕2軍の秋広優人内野手(57試合)をはじめ8選手が務め、打率.245と振るわなかった。
そんな中、今季は開幕から全3試合で1番を務めているのがドラフト3位ルーキーの佐々木俊輔外野手だ。オープン戦では打率.400(45打数18安打)と打ちまくったが、開幕後は.200(10打数2安打)。開幕戦で放ったプロ初安打は、投手へのボテボテの当たりが内野安打となったもので、2戦目の左前打も鈍い当たりのポテンヒットだった。
開幕3戦目は3打数無安打に終わり、7回の打席で代打を送られた佐々木は「言い訳はできない。試合に出ている以上は結果を出さないと生き残れないですし、1番という重要なポジションが機能しないと、チームに勢いが出ない。今日1日はしっかり反省して、あと140試合あるので、やるだけですね」と危機感をにじませていた。
もっとも、クリーンヒットが出ない時でも、2戦目の7回無死二塁での送りバントが相手のエラーを誘うなど、足が速いだけに、相手が嫌がる選手である。ボテボテのプロ初安打を、阿部監督は「素晴らしい“らしいヒット”が出たね」と笑顔で評価していた。
二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチは「1年目の選手ですし、どんな選手にも調子の波はある。まだレギュラーというわけではないので、こっち(首脳陣)がうまく使いながら、状態を上げていってもらえればと思います」と説明。そして「実際のところ、それほど状態が悪いわけでもない。相手のピッチャーもいいですから」と付け加えた。今後、打順の組み替えに踏み切るのかどうかが注目される。
開幕戦で大活躍の梶谷は2戦目「体がお張りになっている」と途中交代
一方の3番は、開幕戦では35歳のベテラン・梶谷隆幸外野手が起用され、守っては味方のピンチを救うダイビングキャッチ、打っては勝利を引き寄せる値千金の1号2ランと大活躍。阿部采配がズバリ的中した。
ところが翌日の2戦目の6回、四球で出塁した梶谷は代走を送られベンチに退いた。阿部監督は「たぶん、梶谷さんは昨日のダイブでだいぶ体がお張りになっていると思うので、壊れないように考慮して代えました」とジョークまじりに説明。3戦目にはスタメンを外れ、梶谷よりさらに4歳上の長野久義外野手が3番を任されたが、2打数無安打1四球で、7回の守備から松原聖弥外野手と交代した。
二岡ヘッドコーチは懸案の1番と3番について「まだちゃんと固定できていない。もちろん早く固定できればいいと思います。考えながらやっていきます」と語った。2つのスポットにぴったりハマる選手が現れた時、巨人は4年ぶりのV奪回にグッと近づくはずだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)