佐々木朗希には「違う目標が」 160キロ計測せずも…専門家が絶賛した「大人の投球」
自己最多111球を投げ7回3安打2失点で今季初勝利をマーク
■ロッテ 5ー2 オリックス(7日・ZOZOマリン)
ロッテ・佐々木朗希投手が7日のオリックス戦に先発し、7回3安打2失点で今季初勝利をマークした。序盤こそ制球に苦しんだが、4回以降は本来の姿を取り戻した。開幕から160キロは計測していないが、野球評論家の新井宏昌氏は「自らの目標に向け、大人の投球を見せている」と、成長を感じ取っていた。
今季にかける思いが垣間見えたマウンドだった。初回は1死から西野に左中間三塁打を浴びると、自らの暴投で先取点を献上。さらに同点に追いついた直後の2回は1死から連続四球でピンチを背負うと福田に中前適時打を浴び勝ち越しを許した。
直球は指にかからずシュート回転し、甘く入ったフォークも痛打される展開。それでも、4回からはスライダーを軸とした投球スタイルにシフトチェンジし立て直した。7回はこの日、最速の158キロをマークするなど、3者凡退に仕留め、自己最多となる111球を投げ抜いた。
本調子ではない状態でもマウンド上で修正し、試合を作った右腕に新井氏は「序盤は力感もなく厳しい内容だったが、4回から別人のような投球内容。球数もプロ入り最多を記録し、7回まで投げ抜いたことは自身にとってもチームにとっても大きい」と、賛辞を送った。
昨季は15試合の登板で7勝4敗、防御率1.78をマークするも、故障もあり後半戦は未勝利。ポテンシャルの高さは誰もが認めるところだが、1年間ローテを守れる体力不足が課題とされていた。メジャー移籍願望を持つ右腕は真価が問われるシーズン。昨年までなら3点リードの6回で降板してもおかしくなかったが、本人の覚悟を感じさせる7回の続投だった。
「これまでの球数制限とは違う目標があると思う。ベンチで吉井監督と話をする場面もありました。本人も行くという表現。自分を掴むための続投だったかもしれません」
ここまで2試合に登板し代名詞でもある「160キロ」は1度もマークしていない。長いイニングを投げるためセーブしながら、要所で力を入れる新たな投球スタイルを模索している可能性もある。「球のキレ、球威は落ちない。むしろ6、7回の方が良かった」と新井氏。本物のエースになるため、背番号「17」が歩みを止めることはない。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)