「怖くて見たくない」3失策後に避けたスマホ 前向くきっかけを作った中嶋監督の気遣い
オリックスの安達は1日のロッテ戦でパ・ワースト記録の1イニング3失策
どん底だったオリックス・安達了一内野手は、中嶋聡監督の優しさに触れた。3日、日本ハム戦(京セラドーム)の試合前練習では、一塁ベンチ前で指揮官とキャッチボールする見慣れない光景。「監督は優しい。心遣いが嬉しかった。切り替えてやるしかない」と、前を向く“きっかけ”を作ってくれたことに感謝した。
悪夢が起きたのは1日のロッテ戦(ほっと神戸)だった。2点リードの9回。守備固めで二塁に入った安達が、まさかのパ・リーグワースト記録となる1イニング3失策。このエラーが響き、一挙5点を奪われ大逆転負けを喫した。
名手が犯したまさかの3失策。球場はため息に包まれ、チームも連敗を止めることができなかった。「あんな姿をファンの皆さんに見せたくなかった。悔しいし、恥ずかしい」。自責の念に駆られ、気持ちも底に落ちた。普段はSNSを見てリラックスすることもあるが「今は怖くて見たくない」と、スマホを閉じたという。
地獄を見た試合から1日の休養を挟み、ゴールデンウィーク初日の京セラドームには3万6146人の観客が詰めかけた。批判の声も覚悟したが、ファンの反応は想像とは違うものだった。
「アップ中に『頑張れ、応援してるぞ!』とたくさん言葉をもらって。ありがたいですよね。本当に泣きそうなった。でも、その言葉に甘えていたらいけない。ここからの姿をファンの方は見ている。信頼を取り戻さないといけない」
試合直前には再び中嶋監督の計らいがあった。ベンチでの円陣では「安達さん」と指名を受け、輪の中心に入ると「ここ(グラウンド)に立つ以上、自信持ってやりましょう! 俺か!」と絶叫。自らにも言い聞かすように、ナインを鼓舞した。
試合は0-3で敗れ4連敗を喫したが、ベテランの心は燃え上がっている。「自分が流れを変えてしまった。自信を取り戻すためには(練習を)やらなアカンっす。ここからやっていかないといけない。下を向いている暇はないんで」。がむしゃらに白球を追い、名手復活へ。背番号「3」はここから這い上がって見せる。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)