苦悩の開幕3試合は「結構もがいた」 宮城離脱で求む復活…山下舜平大の“現在地”
オリックス・山下舜平大「戦える選手は修正能力がすごいんです」
濃紺のアンダーシャツは、いつも汗が深く染み込んでいる。「成長する前には、こういうことがあると思い込んでいます」。2軍調整中のオリックス・山下舜平大投手が、屈託のない笑みで現状を語った。
高卒プロ4年目の今季は、開幕から苦しんだ。3試合に登板して0勝2敗、防御率6.43。14イニングで被安打17、15四死球。誰がどう見ても、マウンド上での表情が冴えなかった。「3試合、結構もがいたので。最終的には課題も見つかりました。『基礎基本』の部分を、もう1回ですね。土台の部分をやり直すと、もっと良くなるんじゃないかなと感じました」。
4月20日に出場選手登録を抹消され、大阪・舞洲の球団施設で自身と向き合った。階段を上がれば、自室がある。「息抜き……。降りたら、トレーニングもできますし、みんなもいる。今は自分の状態を戻す、良くすることしか考えていません」。思い描く理想像はある。
「体をロスなく、スムーズに使えるようになることが1番。1年間、戦える選手は修正能力がすごいんです。だから、(山本)由伸さんや宮城さんは試合中にちゃんと修正できる。自分はその域まで達していない。というか……。あの2人は崩れているのかも、見ている側からしたらわからないですけどね」
10日、ウエスタン・リーグのソフトバンク戦に先発し、7回96球4安打無失点の投球を披露した。表情にも少し余裕が見えてきた。「(先発のため)なかなか1週間ちょっとでの改善は難しかった。登録抹消になって時間がもらえたので、感謝しながら練習に取り組んでいます」。
「克服したら、もっと良くなる経験もある」
公称190センチ、100キロ。筋力アップしたボディ、引き締まったお尻は、もっと大きく見える。「(体が)大きいので、少しズレると乱れることもあります。僕の場合、ずっとですけどね、高校の頃から。それを克服したら、もっと良くなる経験もあるので」。焦りはしないが、そうも言っていられない。
開幕からチームを牽引してきた宮城大弥投手が10日に出場選手登録を抹消となった。球団によれば、左肩付近に強い張りを感じていたため、9日に神戸市内の病院を受診し「左大胸筋の筋損傷」の診断を受けた。必然的に、山下の復活が求められる。
自然と、胸が熱くなる。「2軍に落ちてしまいましたけど、まだまだシーズンは長いです。どんどん挑戦して、良い期間にしたいです」。誰にも見せない努力は、着替えたシャツの枚数だけが知っている。
(真柴健 / Ken Mashiba)