同僚の「邪魔をしたくない…」 米114発&球宴出場、巨漢助っ人が日本で貫く“ルール”

取材に応じた西武のヘスス・アギラー【写真:小林靖】
取材に応じた西武のヘスス・アギラー【写真:小林靖】

8日に抹消…西武アギラーは先発出場した全試合で4番を任されていた

 西武の新外国人ヘスス・アギラー内野手は、右足首痛で8日に出場選手登録を抹消された。しかし、それまでに先発した29試合は全て4番で出場している。ブルワーズ時代の2018年にメジャーのオールスターとホームランダービーに出場したスラッガーは、一塁守備の評価も高い。日本野球をどうとらえているのだろうか。

 日本では伝統的にチームの最強打者が4番を務めることが多い。アギラーは「それは知らなかったよ」と苦笑する。「何番を打つにせよ、チームに関わる全ての人のために、ベストを尽くすことは変わらない」とした上で、「メジャーではベストヒッターは2番を打つことが多いね。自分もタンパベイ(レイズ)時代に2番を打ったことがある」と振り返る。

「1、2番は打席が数多く回ってくる。メジャーの年間162試合をトータルで考えると、巨体の自分にとっては少々体力的に酷。5、6番を打つことに慣れているし、居心地がいいよ」とジョークまじりに語る。

 一方で、190センチ、125キロと大柄ながら、一塁守備は軽快で器用だ。ゴロを捕球すると、ベースカバーに入る投手へ実にソフトなトスを送る。その様子に、周囲から「アギラーのトスには愛がある」との声が挙がっている。本人は「優しくトスしているつもりはなかったけれど、そう言われているのなら、これからは気にしていこうかな」と茶目っ気たっぷりに笑う。

 阿部真宏内野守備走塁コーチは「例えば、その日の相手チームで足が速く、セーフティバントに気を付けた方がいい選手は誰か、などをよく話しています」と言う。

 チームメートに、アドバイスを求めることがあるかどうかを問うと、アギラーは同僚たちを「家族」と呼びつつ、「言葉の壁があるし、試合前に選手の集中の邪魔をしたくはないから、話しかけるのを控えている」と明かした。

 周囲に細かい気遣いを見せ、優しい人柄をにじませながら、少しずつ実直に、日本野球に慣れようとしている。

(倉林知子 / Tomoko Kurabayashi)

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