「スピードガンより速く感じる」 巨人の“救世主”に…23歳右腕の豊かな可能性と課題
巨人・堀田賢慎は「スピンの効いた良い真っすぐ」
■中日 4ー2 巨人(22日・東京ドーム)
引き分けを挟み4連敗中の巨人が苦しんでいる。大黒柱の菅野智之投手が16日に体調不良で出場選手登録を抹消され、3、4月に5試合2勝0敗、防御率0.95の快進撃を続けていた高橋礼投手も調子を落として2軍落ちした。先発投手陣に暗雲が垂れ込めているが、救世主として期待されるのが23歳の堀田賢慎投手である。
堀田は22日、本拠地・東京ドームで行われた中日戦に先発し、6回途中77球5安打3失点で敗戦投手になった。5回までは無失点に抑えていたが、2点リードで迎えた6回に3点を奪われて逆転され、今季初黒星を喫した。今月から先発ローテーションに定着し、毎週水曜日に先発。先発した時に限ると、4試合で2勝1敗、防御率1.27の好成績を挙げている。
22日の最速は146キロだったが、現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「身長186センチから投げ下ろすストレートは、打者の反応を見ていると、スピードガンの表示よりもだいぶ速く感じているようです。スピンの効いた良い真っすぐが行っているのだと思います」と指摘。さらに「代え時を間違えなければ、勝っていける投手だと思います」と評した。
22日は“代え時”が勝敗を分けた形になった。2-0とリードして迎えた6回。堀田は2死を奪った後、田中幹也内野手と福永裕基内野手に連続四球を与え、一、二塁。この時点で投球数は「73球」だった。そして、続く4番・細川成也外野手に左前適時打、5番のオルランド・カリステ内野手には右翼フェンス直撃の逆転2点二塁打を浴び、無念の降板となった。
「ポンポンと2死を取った後だけに、代え時が難しかったとは思います。しかし先発ローテで投げるようになって間もない投手ですし、初回から飛ばしているように見えた分、球数から受ける印象よりもバテが早くきていたのではないかと推測します。結果論ですが、細川を迎えたところで代えてもよかったと思います」
「打線の調子が上向くまでは、失点を少なくして勝つしかない」
野口氏は「堀田自身としては、ペース配分を含めて“試合でのスタミナ”をつけていくことが課題の1つになると思います」と分析。さらに先発投手として大成していくために、第2の課題として「変化球の制球」を挙げた。
堀田は初回2死で、福永にスライダーが高めに浮いたところを左翼ポール際へ大飛球を打たれた。ファウルの判定に、中日・立浪和義監督がリクエストを要求するも判定は覆らず、堀田はホッと胸をなでおろした。「あの一撃で『甘い変化球は投げられない』となって、チェンジアップもカットボールもスライダーも、低めのボール球が多くなり、投球が窮屈になりました」と分析する。
堀田は2019年ドラフト1位で青森山田高から巨人に入団するも、1年目にトミー・ジョン手術を受け苦難のスタートとなった。2022年にプロ初勝利を含め2勝を挙げたが、昨季は春先に右肩を痛め、1軍ではリリーフで3試合に登板したのみ。今季に入ってからブレークの兆しを漂わせている。
今季の巨人の1試合平均得点は「2.44」でリーグワースト。野口氏は「打線の調子が上向くまでは、失点を少なくして勝つという、阪神のような戦いをしていくしかない」と見る。それだけに、堀田に寄せられる期待は大きい。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)