ノックは5球、練習1時間で終了…「直立不動」とは対照的 米国野球指導の“優先順位”

米国の野球アカデミー「ハイヒート・ベースボール・ルーキーズ」【写真:チーム提供】
米国の野球アカデミー「ハイヒート・ベースボール・ルーキーズ」【写真:チーム提供】

47都道府県から海外チームまで…ユニークな練習や指導法に“悩み解決”のヒント

 全国大会出場経験のあるチームから米国のアカデミーまで、多様な練習メニューや指導方法が集まった。野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が3日、5夜連続のオンラインイベント「少年野球フェスティバル」をスタートした。野球とは一見無関係なメニューや米国式の指導法など、少年野球の指導者や保護者が今すぐにでも取り入れたいユニークな内容が紹介された。

 5夜連続で開催されるイベント初日は、日米10チームが動画で登場した。打撃練習でプロ野球選手のモノマネをチームメートの前で披露するチームや、未就学児は月々500円で受け入れて裾野拡大に努めているチームなど、それぞれに特色があった。

 中でも、“異色”だったのが米国ニュージャージー州にある野球アカデミー「ハイヒート・ベースボール・ルーキーズ」。5歳から17歳までの選手が所属し、年代別に指導している。守備練習で活用しているのはラダーだ。

 ラダーの枠を踏まないようにリズム良くジャンプしたり、手でゆっくりと転がされたゴロを捕球してラダーをまたいでステップを覚えたりするメニューが、動画に登場した。試合でゴロを捕球する際、足が止まってしまう選手が多いことから、ラダーを使って足を動かす習慣を身に付ける目的があるという。

 練習時間や指導者との距離感は、日米のチームで大きな違いがあった。ハイヒート・ベースボール・ルーキーズの練習は1回1時間ほど。肩や肘の怪我を予防する「セーフティファースト」の考え方を優先している。時間が短い中でも、指導者が練習の狙いやポイントを丁寧に説明するところも特徴。イベントにゲスト出演した野球スキルコーチ・菊池タクトさんは、このアカデミーでコーチングを学んだ経験があるといい、こう話した。

「試合で想定される打球に対して、指導者は『どっちの足を使って捕る?』と選手に質問するところからスタートします。米国は日本と違って、ノックの球数をこなして体で覚えるという方法ではないので、説明に時間を使い、実際に受けるノックは5球、10球で終わることもあります」

 菊池さんとともにゲストコメンテーターを務めた滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督は、指導者の話を聞きながらジェスチャーをする選手たちの姿に注目した。日本は選手が直立して指導者の話を聞くことが一般的なだけに「ミーティングで選手が体を動かすのは新鮮でした。米国は対話式で、選手たちが指導者の話をイメージしながら聞いて自分の中に落とし込んでいるように見えました」と語った。全国47都道府県で話題の学童野球チームを紹介する「少年野球フェスティバル」は、7日まで開催されている。

「少年野球フェスティバル」6月7日(金)まで開催中…参加費無料

 野球専門メディア「Full-Count」、野球育成サイト「First-Pitch」では、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」と連動し、3日から5夜連続で、全国47都道府県で話題の学童野球(小学生軟式野球)チームの練習法・指導法を紹介するオンラインイベント「少年野球フェスティバル」を開催中。各チームの特徴的な練習を動画で紹介し、滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督らゲストコメンテーターと共に、選手が育つ秘訣、強さの秘密を探っていきます。

【少年野球フェスティバル・詳細】

https://first-pitch.jp/article/coaching-methods/20240604/7675/

【参加はTURNING POINTの無料登録から】

https://id.creative2.co.jp/entry

(間淳 / Jun Aida)

少年野球指導の「今」を知りたい 指導者や保護者に役立つ情報は「First-Pitch」へ

 球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。

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https://first-pitch.jp/

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