部員2人→6年で60人超 急成長“下部組織”の飛距離アップ施策「成長目に見える」
愛知・東海中央ジュニアは「ロングティー」を通年取り入れ“飛ばす力”を伸ばす
野球の競技人口減少が叫ばれる中、各チームが部員数を増やすための工夫を凝らしている。野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が7日、全国の少年野球チームの運営方針や練習メニューを紹介するオンラインイベント「少年野球フェスティバル」を開催。愛知の新鋭チームが短期間で部員を大幅に増やした理由が垣間見えた。
5夜連続で開催された「少年野球フェスティバル」の最終日は、全国大会常連チームや創立50年以上の伝統チームなど全国9チームが登場。各チームが、長年受け継ぐ練習方法や近代的な独自のトレーニング方法を動画で紹介した。
愛知・東海中央ジュニアは、昨年の日本少年野球春季全国大会で初優勝を成し遂げた硬式野球チーム・東海中央ボーイズの下部組織。全国大会出場経験こそないものの、2018年の創立時は2人だった部員が6年で66人にまで急増した。
動画では、打撃はロングティー、守備はゴロ捕球を重視した練習に取り組んでいることが紹介された。自宅で行うのが難しいロングティーを日常的に取り入れることでボールを飛ばす力を伸ばし、ボールを手で転がす「手ゴロ」で守備の基礎を磨いている。
ゲストコメンテーターとして出演した野球講演家の年中夢球さんはロングティーに着目し、「飛距離を測ることで成長が目に見えるのがロングティーのいいところ。冬場だけ行うチームが多いが、冬だけでなく定期的に測定すると成長を確かめることができる」とコメント。
また、今回紹介された、兵庫・泉イーグルスが取り組んでいるラダーを使った練習やアメリカンノックにも触れ、「(これらの練習は)年間通して取り組んだ方がいいと思う。瞬発系の練習は特に4年生くらいまでの年代は通年やった方が効果がある」との見解を示した。
専門家もそろって絶賛、「楽しむ」野球をSNSで発信…部員増のカギに
年中夢球さんは東海中央ジュニアのインスタグラムについても言及。試合結果だけでなく、チームの様子が伝わる投稿をしているといい、「入団を迷っている人は選手の表情や指導者が気になる。それらがものすごく伝わってきて、『子どもがこんな表情でやってくれたらうれしいな』というのを感じる」と絶賛した。
同じくゲストコメンテーターを務めた滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督も東海中央ジュニアのSNS運用について「選手を集めるためには確実に必要なことなので、見習わないといけない」と話し、「大人のエネルギーを感じるチームで、今後(実力が)上がってくるのは時間の問題」と期待を寄せた。
今回の動画では、選手たちが砂浜で楽しみながらトレーニングに励む様子も紹介された。普段使用しているグラウンドから環境を変えることでリフレッシュさせる狙いがあり、指導者も一緒になって汗を流しているという。
工夫を凝らした環境づくりが、選手の純粋に野球を楽しむ表情を引き出すことにつながっていると言えるだろう。東海中央ボーイズに続き、全国に名を馳せるチームへと成長することはできるか、注目だ。
(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)
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