巨人-阪神OB戦に「松井秀喜も呼びたかった」 大盛況で高まる需要…清原氏待望論も

巨人OBチームの監督を務めた中畑清氏(左)【写真:小林靖】
巨人OBチームの監督を務めた中畑清氏(左)【写真:小林靖】

中畑清氏が「代打、俺」で打席に…藤川球児氏が登場曲に乗って登板

 巨人と阪神のOB戦「伝統の一戦~レジェンズOB対決」(5イニング制)が15日に東京ドームで行われ、巨人OBが3-2で競り勝った。スタンドでは3万5000人の観客が見守る大盛況。今後、他球団を含めてOB戦の需要が高まり、さらに盛り上がるかもしれない。

「まるで演出したようなゲーム展開になったね。ベンチの中も熱かった」と会心の笑みを浮かべたのは、巨人OBチームの監督を務めた中畑清氏。試合中、出場選手の現役時代の映像がビジョンに何度も映し出され、両チームの応援団による「闘魂こめて」「六甲おろし」の合唱もあった。

 最終回の5回表を終了した時点で巨人OBがリードしていたが、特別ルールでその裏の巨人OBの攻撃も行われた。2死走者なしで、中畑氏が「代打、俺」をコールし打席に向かうと、東京ドーム内にロックバンド「リンドバーグ」の懐かしい曲が流れ、スタンドから歓声が沸き上がる。阪神の伝説的守護神・藤川球児氏の登場曲である。

 1989年限りで現役を引退した中畑氏と、1999年にプロ入りした藤川氏の時空を超えた直接対決。中畑氏がカウント2-0から真ん中付近の球をとらえ、三遊間を破るヒットを放った。「私はやはり天才だなと思いました。あそこで打てる選手はいない」と自画自賛しつつ、「本当は球児が打たせてくれた。万時、球児!(万事休すの駄洒落?)」と本音も漏らす中畑氏だった。

 かつての巨人のエース・江川卓氏は「われわれOBとしては、1万人くらい残っていただけたら本当にすごいことだと思っていましたが、3万5000人もいらっしゃった。私はOBの中では中間の年齢で、多少なりとも先輩と後輩をつなげる役割を果たせたのであれば、よかったと思います」と感慨深げだった。

西武初のOB戦に2万7795人、親会社の株主総会でも話題に

 巨人OBは昨年11月に静岡・草薙球場でジャイアンツ女子チームと対戦し、6300人の観客を動員している。今回と合わせて2戦連続出場となった原辰徳前監督ら、豪華な顔ぶれがそろったが、いまだに登場していない名選手もいる。

 中畑氏は「本当は松井秀喜(ヤンキースGM付特別アドバイザー=米国在住)も呼びたかった。あいつ、『往復の飛行機代、出してもらえるのですか?』とか言いやがって」とジョークをまじえながら、巨人打撃コーチを務めていた頃の教え子である松井氏にも参加を打診していたことを明かした。松井氏と同じく巨人の4番を務めた経験のある落合博満氏、清原和博氏にも声をかけていたという。今後のOB戦開催へ向けて、ファン待望のカードがまだ残されているとも言える。

「西武のOB戦も盛り上がったみたいだしね」と中畑氏は言及する。西武も今年3月、ベルーナドームにOB63人が集結し、2チームに分かれて初のOB戦を実施した。現役の西武戦とは関係なく、OB戦単独で開催したが、前売りは早々に完売し、満員札止めの観客2万7795人が詰めかけた。こちらも清原氏、松坂大輔氏らの参加は“お預け”となっている。

 6月に行われた西武の親会社「西武ホールディングス」の株主総会では、株主の1人が清原氏のOB戦不参加について「西武がコンプライアンスを大事にしているのは理解しているが、執行猶予期間も終わっているし、許して迎え入れてほしい」と声を上げたほどだ。

 今月22日にはエスコンフィールドで、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)や五輪で激戦を繰り広げてきた日韓両国の野球代表経験者のOB戦「日韓ドリームプレーヤーズゲーム」、25日には中日の初のOB戦「DRAGONS CLASSIC LEGEND GAME2024」がバンテリンドームで行われる。現役引退した名選手たちへ向けられるファンの視線は、まだまだ熱い。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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