NPBで防御率15.75…苦難の日々「別人だった」 元助っ人が“出戻り覚醒”できたワケ
アストロズのスコットが語る広島時代「あの頃は別人のピッチャーだった」
苦い思い出も今では笑顔で話せる。アストロズのテイラー・スコット投手は28日(日本時間29日)時点で7勝、防御率1.45と好成績を収めている。2020年に抑え候補として広島に加入したが、防御率15.75と打ち込まれ、翌年は登板せずに退団。「あの頃は別人のピッチャーだった」と苦笑いして振り返る。
32歳のスコットは今オフにアストロズとマイナー契約。スプリングトレーニングに招待選手として参加し、開幕直前にメジャー契約を勝ち取った。ここまで45試合に登板し、7勝3敗、防御率1.45。ア・リーグ西地区首位に立つチームを支えている。
2011年のMLBドラフト5巡目(全体159位)でプロ入りしたが、メジャーの壁は高かった。米独立リーグも経験し、2019年にメジャーデビューを果たしたが、13試合で防御率14.33と低迷した。「多くの選手が日本に行って、うまくなって戻ってきてアメリカ(メジャー)と契約していた。だから僕ももっとうまくなるために日本に行くつもりだった」と慣れない土地でプレーすることを決めた。
当初クローザー候補として期待されていたが、慣れない環境に加え、新型コロナウイルスが猛威を振るった。家族とも離れ離れの生活は「辛いこと」。結果的に1年目を0勝3敗、防御率15.75という成績で終え、2年目は1軍登板することなく退団した。
アストロズ移籍が転機…強力救援陣のアドバイスが「精神面に役立っている」
「あの頃は別人のピッチャーだった。投げ方もやり方もちょっと違った。日本のリーグでは、うまくいかなかったんだ。当時は日本の打者をどうやって打ち取るか、それがわからなかったんだ」
メジャーでも2022年はパドレスで防御率5.60、2023年は3球団を渡り歩いた。転機になったのはアストロズに加入後。ジョシュ・ヘイダー、ブライアン・アブレイユら強力救援陣のアドバイスが功を為した。
「厳しい状況やその状況にどう対処するか、どのように物事に取り組むかについて話す機会があって、それが間違いなく投球の精神面に役立っているんだ」
それでも広島時代はスコットにとって決して嫌な思い出ではないという。「僕も妻も、日本での生活を好んでいたよ。ベリーナイス。住んでみて、みんなとても親切だったし、礼儀正しく、僕たちが助けを必要としていた時は、いつでもみんなが助けてくれた」。日本での苦難の時期は、今に生きている。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)